日銀シナリオ下振れなら追加緩和ちゅうちょせず=白井日銀審議委員

日銀の白井さゆり審議委員は27日午後、徳島県金融経済懇談会後の
記者会見で、景気・物価の下振れリスクが顕在化し、日銀が
描いている中心的なシナリオが崩れる可能性が高まる場合には、
ちゅうちょなく追加緩和すべきとの認識を示した。

日銀が掲げている2%の物価安定目標は非常に
チャレンジングなものとし、目標達成に向けて
「やれることはすべてやる」と強調した。

白井委員は午前の講演で、先行きの経済・物価について
下振れリスクを意識していると発言していた。

こうした下振れリスクが顕在化した場合の政策対応について、
「(日銀の)中心シナリオを下振れさせる可能性が高まれば、
ちゅうちょなく追加金融緩和をすべき」と明言した。

日銀は10月31日に公表した「経済・物価情勢の展望」
(展望リポート)で、日本経済は2015年度までの見通し
期間後半にかけて、目標とする2%程度の物価上昇率が実現し、
持続的成長経路に復帰する可能性が高い、とのシナリオを描いている。

また、現行の2%の物価安定目標の実現を目指す政策は
「非常にチャレンジング」とし、達成するためには
コミットメントを維持することが重要と強調。

2%目標を掲げている以上、「やれることはすべてやる」とし、
「金融政策への信認が低下する場合」についても追加緩和を
検討すべきと語った。

金融政策への信認が確保されているかどうかについては、
実際の物価が2%に着実に上昇していく経路をたどっているか、
中長期の予想インフレ率が2%に向かって上昇しているか、
かい離がある市場との経済・物価見通しがどうなっていくか、
などをチェックしていくとした。

具体的な緩和手段については「申し上げられない」としたが、
国債やいろいろな組み合わせもあると思うが、日々、
いろいろなことを考えている」と語った。

一方、日銀の中心シナリオや下振れリスクの程度に
変化がないのであれば政策を見直す必要はないとの考えを示し、
「今、追加緩和が必要な状況ではない」と述べた。

自身の物価見通しについては、消費者物価(生鮮食品除く、
コアCPI)の前年比上昇率が2014年度に1%前後となり、
2015年度に「1%半ばを若干超える」と予想。

2%目標の達成時期は「2015年度末にかけて
見通せるかどうかだ」と語った。