トロイカが来週のギリシャ訪問を中止、次回融資遅延の恐れ

欧州連合EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金IMF)で
構成する国際支援機関(トロイカ)が来週予定していた
ギリシャ訪問を取りやめ、次回融資の実行が遅れる可能性が
出てきたことが29日、当局者の話で明らかになった。

改革実施の遅れからギリシャに対しては不満が高まっており、
トロイカは現地入りを遅らせることで、ギリシャに改革断行を
迫る狙いがあるとみられている。

ギリシャは来年初めから欧州連合
EU)の議長国に就任する。

それまでに財政再建の順調な進展を示し財政危機から
立ち直りたいギリシャにとって、今回の
トロイカ訪問延期は痛手だ。

トロイカ調査団は、12月9日のユーロ圏財務相会合
(ユーログループ)を前に改革の進ちょく状況を
審査する予定だった。

次回融資の実施には、ユーログループが
融資の承認で合意する必要がある。

ギリシャ財務省は「年内の審査終了に向け、トロイカ
訪問日程を調整している」との声明を発表した。

ギリシャは年内に最大59億ユーロの
次回融資を受け取る予定。

トムソン・ロイターのデータによると、ギリシャ
1月11日に約18億5000万ユーロの国債が償還を
迎えるほか、来年5月には約93億ユーロの大型償還も
控えている。

ギリシャ議会は12月7日に
2014年度予算案の採決を行う。

予算案ではプライマリーバランス基礎的財政収支)で
国内総生産GDP)比約1.5%の黒字を達成する目標が
盛り込まれているが、目標達成に必要な不足資金の
見通しでギリシャ政府とトロイカは対立しており、
トロイカは予算案を承認していない。

ギリシャのストゥルナラス財務相は今週、不足資金予想に
関する双方の溝が10億ユーロ程度まで縮小した
と明らかにしている。

向こう数日で意見の相違がさらに縮まれば、トロイカ
早期にギリシャを訪問する可能性がある。

欧州委員会の報道官は、ギリシャとの協議は継続して
行われるとした上で、「調査団が再び現地入りする
具体的な日程はまだ決めていない」としている。

スペインが国内銀行の資本金押し上げ、繰延税金資産の扱い変更
スペイン政府は29日、国内銀行の一部繰延税金資産
扱いを変更し、資本金を300億ユーロ(408億ドル)
押し上げた。

銀行が繰延税金資産の一部について、政府が裏付ける
税額控除に転換、新銀行自己資本比率規制「バーゼルⅢ」
の下で、中核的自己資本に組み入れられるようにした。

デギンドス経済相が明らかにした。

欧州では来年、銀行のストレステスト
(健全性審査)が行われる。

今回の措置に伴い、多くの銀行が審査を通過し、
追加の資金を金融市場や公的機関から調達しなくても
済むとの見方も出ている。