低インフレ長引けば行動の用意、デフレリスクない=ECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は16日、
インフレが過度に長期間、低水準にとどまるようであれば、
ECBとして措置を講じる用意があるとした上で、
日本におけるバブル崩壊以降のデフレ状態は
回避できるとの考えを示した。

ただし、ECBとして取り得る具体的な
対策については言及しなかった。

総裁は欧州議会での証言で「低インフレ状況の
長期化による下方リスクを十分に認識している。
理事会はフォワドガイダンスに沿って、
必要に応じ行動する用意があり、行動できる」
と語った。

その上で「日本のような状況には陥っていない」とし、
その理由として、欧州では中長期のインフレ期待が
強固に固定されていることなどを挙げた。

さらに、自己増殖的な物価下落と定義される意味での
デフレは発生していないと見ており、商品(コモディティー)、
及び加盟国にわたり、全般的な物価下落は見られないとした。

長期資金供給オペ(LTRO)については、これまで銀行に
供給した資金の約4割がこれまでに返済されている
とした上で、銀行が個人や企業への貸し渋りを続けるのは
資金不足だからではなく、リスク回避に加え、資本が
不足しているためだと指摘、ECBとして当面、
追加のLTROを行う考えはないことを示唆した。

過剰流動性の低下で短期金利に上昇圧力がかかっていることに
ついては「翌日物金融市場での過剰流動性が徐々に低下しており、
ECBは 金融政策スタンスに及ぼし得る影響を監視している。
われわれは利用可能なあらゆる手段を検討する用意がある」
と述べた。