欧米当局が金融機関に科した罰金・和解金、今年過去最大に

世界の大手金融機関に不正行為などが相次いで
明るみに出たことで、2013年に欧米当局が
金融機関に支払いを命じた罰金と和解金の総額は
約430億ドルと、過去最大となった。

今年は「ロンドンの鯨」の異名を取ったJPモルガン
トレーダーが引き起こしたデリバティブ巨額損失事件が発覚。

この他、米国では信用力の低い個人向けの住宅融資債権を
基にした住宅ローン担保証券MBS)の販売方法をめぐり、
金融機関は巨額の和解金の支払いで合意した。

ロイターの試算によると、米連邦政府、及び州政府に対し
銀行が支払いを命じられた罰金と和解金の総額は
約400億ドル。

このうち最も規模が大きかったのは、JPモルガン
MBSの販売をめぐり支払うことで合意した
130億ドルの和解金だった。

欧州では、当局が支払いを
命じた罰金の総額は約30億ドル。

ロンドン銀行間取引金利LIBOR)と欧州銀行間取引金利
(EURIBOR)の不正操作をめぐり6金融機関が
合計17億ユーロ(23億ドル)の罰金の支払いを命じられた。

今年の動きから、当局が規制強化に向けこれまでよりも
多額の罰金を科す傾向があり、関係当局が相互に連携を
強めているという2つのトレンドが読み取れる。

英法律事務所PRCのパートナー、リチャード・バーガー氏は、
「関係当局が国際的な協力・協調体制を強めていることは、
規制対象となっている金融機関に対する脅威となっている」と指摘。

さらに、金融機関側に問題の拡大を避けるために
早期に決着させたいとの思惑があることも、
罰金や和解金の支払額が増大した背景に
あると見られる。

また内部告発の件数が増えていることから、
来年も金融機関が支払いを命じられる罰金や
和解金の額が増える可能性もある。

英規制当局の金融犯罪対策部門を率いる
トレーシー・マクダーモット氏は、
「金融サービス産業全体は、収益創出を
何よりも優先してきたこれまでの体質から
脱却する必要がある」と述べている。