来年前半にかけCPI1%超に、脱「デフレ均衡」へ期待転換=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は25日、都内で開かれた
日本経団連の会合で講演し、消費者物価の
前年比上昇率は来年前半にかけて1%を
若干上回る水準で推移するとし、それに伴って
インフレ予想も大きく変わってくる、との見解を示した。

また、日本経済はデフレが長引いた結果、「デフレ均衡」の
状態にあるとし、脱却には期待の転換が不可欠と語った。

15年近くデフレ状況が続いてきた中で、日本経済には
物価が上がらないことを前提とした仕組みが定着しており、
「ある種のデフレ均衡状態」にあると語った。

その上で「こうした均衡状態はいつまでも
続けられるものではない」とし、「出来るだけ早く
デフレから脱却し、縮小均衡を拡大均衡に
転換していくことが必要だ」と訴えた。

デフレ均衡から脱却するには、政策当局が「人々の
マインドセットを転換できるような大胆な政策を
打ち出さなければならない」と述べ、今年4月の
異次元緩和は「デフレ均衡下のゲームのルールを
打ち破る」ために導入したと説明。

中央銀行が国民や市場の期待を「意のままに
動かせるものではない」としながらも、
デフレ均衡からの脱却には「期待の転換」が
不可欠と強調した。

足元では需給環境の改善などを反映して、
幅広い品目で物価改善の動きがみられており、
10月の消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の
前年比上昇率は0.9%に拡大している。

総裁は物価動向について「来年前半にかけて
プラス1%を若干上回る水準で推移すると
見込まれる」と述べ、こうした実際の物価の
変化によって「インフレ予想も大きく
変わってくる」と指摘。

先行きの見通しも含めて「予想物価上昇率
上昇傾向をたどり、物価安定の目標である
2%程度に向けて次第に収れんしていく」
と改めて目標達成に自信を示した。

その上で、現在の日本経済には実体経済や金融市場、
人々のマインドや期待など「好転の動きが
幅広くみられている」とし、「デフレ脱却に
向けた千載一遇のチャンス」と強調した。