米上院が歳出法案を可決、政府機関閉鎖は回避へ

米上院は16日、2014年の会計年度末までを対象とする
1兆1000億ドル規模の歳出法案を賛成72・反対26で
可決した。

これでオバマ大統領の署名を経れば、会計年度末の
9月30日まで政府機関の閉鎖は回避される。

法案は軍事費など数千件の政府
プログラムの費用を手当てする内容。

上院歳出委員会のバーバラ・ミクルスキ氏は
上院の議場で「少し遅くなったが、われわれは
仕事を成し遂げた」と語った。

オバマ大統領は18日までに
法案に署名する見通し。

これにより議会での財政協議の
焦点は連邦債務の上限引き上げ問題に移る。

債務上限の引き上げは早ければ
6週間後には必要になる可能性がある。

共和党は、債務上限引き上げの条件として
何を要求するかについて明らかにしていないが、
同党のベイナー下院議長は16日、記者団に対し、
米国をデフォルトのリスクにさらす激しい対立を
望まない姿勢を示し、議会に迅速な行動を
呼び掛けた。

上院は歳出法案の採決をより迅速に行うため、
通常の審議プロセスを加速させた。

法案は13日に提出されたばかりで、1582ページに
及んでおり、大方の議員はそのほとんどを読んでいない。

法案には今になってようやく明らかになってきた
議論を呼ぶ条項も盛り込まれている。

納税者支持団体のタックスペイヤーズ・フォー・
コモンセンスは、米ユーゼック(USEC)による
ウラン濃縮研究を今年約6200万ドルで継続する
とした条項について「とんでもない」と批判した。

USECは昨年12月、連邦破産法
11条の適用を申請する方針を示した。

同社は米エネルギー省のウラン濃縮事業の
民営化により設立された経緯がある。

ベイナー議長は「破産手続きには様々な種類がある。
これは新技術を駆使したウラン濃縮施設だ。
(USECの)研究を進めるため超党派
取り組んできた」と述べ、この条項を擁護した。

法案に関する迅速な対応は、上下両院の
民主・共和党双方が中間選挙の年に財政面での
対立を避け、政府の財源を確保したいとの姿勢を
示している。

法案は、軍事費と国内プログラム向け経費を
450億ドル上積みすることで歳出の強制削減を
一部緩和する。

しかし、医療保険改革法(オバマケア)の
施行延期を求めたテッド・クルス共和党上院議員
依然として反抗的な姿勢を示しており、民主党
オバマケアの悪影響で米国民が苦しむことを
容認していると批判した。

クルス議員はオバマケア向け資金の凍結を
再度試みたが、同議員の修正案はリード
上院院内総務(民主党)によって阻止された。