新興国市場の動揺を注視

今週の為替相場は、新興国市場の動揺を
注視する展開が継続するものと思われます。

先週は、中国の経済減速懸念や米国の
超緩和策削減を材料に、新興国市場に動揺が
走りました。

新興国市場の株価が軒並み下落する一方、
アルゼンチン通貨の急落をきっかけに、
新興国市場通貨が大きく値を下げる動きを
見せました。

これを睨んで、安全資産の円やスイスフラン
上昇する、お決まりのパターンが外為市場では
見られました。

円は対ドルで一時101円台、
対ユーロでも139円台に上昇しました。

特に大きな材料がないなかで、発表された
中国の経済指標が、中国経済の減速を
印象付けたことが新興国市場の動揺を誘ったのです。

その背景には、米国の超緩和策の縮小があげられます。

これまで、米国が超緩和策を継続してきた中で、
余剰資金は成長余力のある新興国市場に流れました。

新興国に流れることで、先進国の投資家は
収益をあげてきたのです。

しかし、資金流出の蛇口と見られていた米国が、
超緩和策を縮小し始めたことで、新興国から資金が
逃避する動きを見せはじめているのです。

この中で、好調な成長を続けていた、
中国経済が陰りを見せ始めたのです。

新興国に投資されていた資金は慌てて
新興国から資金を逃避させ始めました。

その動きが先週の株価下落、新興国通貨の急落、
避難通貨の役割を担う、円とスイスフラン
上昇に繋がったのです。

この流れがさらに強まって、国際金融市場が
混乱するとは、考えていませんが、金融政策を
一歩誤れば、いつでもその危険性はあると
考えています。

今回のパニックは、その予行練習と
思えれば、一番良いと考えます。

本質的には、強い米経済を裏打ちした、
強いドル、強い米株価の動きに変化は
ないと思います。

調整に勢いがついて、ドル円で100円を
超える円高局面があってもおかしくはありませんが、
長いタームで考えた場合、今年半ばに110円台に
ドルが上昇しても、不思議ではないと思います。

新興市場国不安の動きが継続するか否かは、
今週開催される米FOMCにかかっている
と思います。

その時の高官の発言次第では、大きな危機に
繋がる可能性があるので、要注意です。

円も、新興市場国の動揺の影響を受けて、
乱高下する覚悟が必要になりそうです。

予想レンジは、
ドル円が99.20〜105.20円、
ユーロ円が135.20〜142.20円、
英ポンド円が164.20〜172.20円、
ドル円が84.20〜90.20円。