消費増税の影響に予断持たず=12月日銀会合議事要旨

日銀が27日公表した議事要旨によると、昨年12月
19〜20日金融政策決定会合では、複数の委員が
4月の消費税率引き上げの影響について、予断を
持たずにみていく必要があるとの認識を
示していたことが明らかになった。

1人の委員は消費増税を含めた先行きの物価上昇率が、
賃金上昇率を上回るとの見解を示した。

会合では、4月の消費増税が日本経済に与える
影響について、複数の委員が「駆け込み需要と
反動の影響を受けつつも、生産から所得、
支出へという前向きの循環メカニズムが
引き続き働く」とし、「基調的には緩やかな
回復を続ける」との見方を確認した。

消費増税後に景気が失速した1997年とは状況が
異なるとの見方も示されたが、複数の委員は
「現在は長期のデフレの後であることを踏まえると、
消費税率引き上げの影響については、マインド面を含め、
予断を持たずにみていく必要がある」と述べた。

同じく複数の委員が、消費者コンフィデンスが
弱めになっている背景について「消費税率引き上げを
意識している可能性があり、今後の動きを注視していく
必要がある」と指摘。

1人の委員が「消費税率引き上げも含めた先行きの
物価上昇率は、賃金上昇率を上回るとみられる」
とする一方、ある委員は「消費税率引き上げに
伴って一斉に起こる物価上昇が、人々の中長期的な
インフレ予想の上昇にも寄与する」との見方を示した。

円安傾向が持続しているにもかかわらず、
輸出が勢いを欠いた状態にあることに対しては
「海外経済の動向が影響している」との見方を共有。

何人かの委員は「すう勢的な企業の海外展開の進展や、
競争力低下などの構造的な要因も影響している可能性」
に言及している。

海外経済では、米連邦準備理事会(FRB)が
資産買い入れ縮小に踏み出したことに関して
「市場は総じて前向きな反応を示した」と評価。

一方で、新興国市場への影響など「引き続き
注意してみていく必要がある」との見解で一致した。

1人の委員は米国経済が緩やかな回復を
続けているものの「米国経済が新興国減速の
影響のすべてを補うことはできない可能性には、
注意が必要」としている。

海外経済全体では、米国の債務問題や金融政策を
めぐる不透明感が払しょくされつつあることで、
多くの委員が「不確実性はひと頃より低下している」
と指摘。

欧州経済について複数の委員が「ディスインフレ
傾向のもとでの実質金利の高止まりと通貨高が、
自己実現的に物価の下方圧力を強めていく
可能性には注意が必要」と指摘している。

金融政策運営では、日本の経済・物価が
「概ね見通しに沿った動き」となっており
「現在の方針のもとで、量的・質的金融緩和を
しっかりと推進していくことが適当」と判断。

異次元緩和の効果も「しっかりと働いている」
との認識が共有された。

複数の委員は「家計のポートフォリオ・リバランスが
着実に進んでいる」との見解を示した。

同日の会合では政策の現状維持を決定。

景気認識も「緩やかに回復している」との判断を
据え置いたが、先行きについて今年4月の
消費増税に伴う駆け込み需要と反動減の
影響に言及した。