景気下振れ「心配してない」=石田日銀審議委員

石田浩二日銀審議委員は26日、さいたま市
記者会見し、日銀が「経済・物価情勢の展望
(展望リポート)」で示しているシナリオが
下振れる可能性を現時点で真剣に心配している
わけではない、と語った。

今後の金融政策運営では、上下双方向のリスクを
点検して、必要ならば調整するとし、シナリオ下振れの
可能性など仮定に基づいた議論をあらかじめ
しているわけではない、と述べた。

石田委員は、経済・物価の先行きリスクについて
「今の段階で展望リポートで示している経路について、
真剣に下方を心配しているわけではない」と明言。

午前の講演では、今後の経済の留意点として、
1)消費税率引き上げの影響、2)海外経済に
関するリスクと輸出動向、3)雇用・所得動向、
の3点をあげたが、それぞれについても
「必ずしも心配しているわけではない。
大丈夫だと思うが、場合によっては足を
引っ張るかもしれないので、注意して
みていきましょうというニュアンスだ」と語った。

こうした認識を踏まえた今後の金融政策運営については
「毎月の金融政策決定会合などを通じて常時、状況の把握、
検証、評価をしており、上下双方向のリスクを判断して
調整が必要と認められれば調整する」とし、「いつ何をする、
どうなったらこうするというのは、金融政策として
馴染まない」と指摘。

シナリオ下振れの可能性など「あらかじめ
何らかの仮定に基づいた議論はしていないし、
考えてもいない」と語った。

足元の輸出については「勢いを欠いた状況に
あることは確か」としたが、先行きは「海外経済の
回復につれて伸びていくという展望リポートの
シナリオは崩れていない」との認識を示した。

輸出の伸び悩みは、海外の設備投資需要が高まらず、
日本が得意分野とする資本財が伸びないことや、
日本の主要マーケットである東南アジア諸国連合
ASEAN)経済の減速などのほか、個人的見解と
しながら「国内需要が強く、それによって一部業種では
国内向けを優先しているのかもしれない」との見方を示した。

先行きの物価動向は、消費者物価の前年比上昇率が
しばらく1%台前半で推移するとみているが、
今後も需給ギャップの縮小が想定されることに加え、
実際の物価上昇を受けて「予想物価上昇率
上がってくる。そうなれば価格設定行動や消費者の
購買行動を変え、プラスの回転が効いてくると思う」
とし、上昇圧力が持続するとの見方を示した。

また、仮想通貨ビットコインをめぐり、各国で
規制のあり方が問題になっていることに関して
「日本の規制のあり方については、要否を含めて
政府において適切に判断されると思う」と指摘。

日銀としては「ビットコインが出てくる背景として、
現在のシステムに不便なところがあれば、日本の
決済システム改善に向けて関係者と協力して
取り組んでいきたい」と述べた。