米FRB議長が来春の利上げ開始を示唆、FOMC緩和縮小継続

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は19日、
就任後初めて臨んだ連邦公開市場委員会FOMC)後の
記者会見で、FRBは今秋に資産買い入れプログラムを
終了させるとの予想を示し、その6カ月後に金利
引き上げを開始する可能性があると述べた。

議長の発言を受け、市場では利上げ時期が
予想より早まるとの観測が浮上した。

FRBはこの日まで開催した
FOMCで緩和縮小の継続を決定。

だが、金融危機の影響が長引いているとして、
経済が健全な状態に戻った後も低金利を維持する
必要がある公算が大きいとの認識を示した。

債券購入額は月額で100億ドル減らして、
計550億ドルとすることを決定。

購入額は国債が300億ドル、エージェンシー
発行モーゲージ債(MBS)は250億ドルとした。

また、将来の金融政策の方向性を示す
フォワドガイダンス」について、
失業率6.5%の数値基準を撤廃した。

ただ、政策方針そのものの
変更を意味しないとした。

失業率やインフレ率の基準よりも、広範な
経済指標を政策決定の際に参考とする考えを示した。

FOMC声明は、量的緩和の終了後も「相当な期間」
現行の政策金利を維持することが適切になると指摘。

初の記者会見でよどみなく質問に答えていた
イエレン議長は、この「相当な期間」について
質問を受けると、戸惑ったような口調で「私は、
私は、これは定義しがたい条件だが、おそらく
6カ月程度とか、その種のことを意味しているだろう。
ただ、状況次第だ。声明は状況次第だと指摘している」
と答えた。

これに先立ち、FRBは経済見通しを公表。

大半の当局者が2015年の利上げを
見込んでいたことから、株価と国債
すでに値を下げていた。

最新の経済見通しでは、当局者16人のうち、
今年の利上げを予想したのは1人、
2015年は13人、2016年は2人だった。

だが利上げ開始後の引き上げペースについては、
昨年12月公表分より利上げ幅がやや拡大した。

金利水準の平均予想は、来年末時点が
1%、2016年末は2.25%となった。

12月時点ではそれぞれ、
0.75%、1.75%だった。

FOMC声明では、FRB完全雇用
2%のインフレ目標を達成した後も、
緩和的な金融政策が続く可能性があると指摘。

イエレン議長はこれに関して「金融危機
長引く影響」を理由に挙げた。

一部の当局者は「潜在経済成長率が少なくとも
当面は低下する可能性がある」と指摘していると述べた。

イエレン議長は金利は当面は低水準にとどまると強調。

金融危機の影響を踏まえると利上げペースは
段階的となり、経済が立ち直った後も「当面は」
正常な水準を下回り続ける可能性があるとの見方を
示した。

また、失業率6.5%とする数値基準を
撤廃したことは、FRBの政策の方向性の
変更を意味するものではないとも強調した。

FRB政策金利の将来的な方向性を
決定するにあたり広範な経済指標を
参照するとの姿勢を表明。

イエレン議長は、FRBはインフレと失業率が
FRBの目標にどれだけ近づいているかだけでなく、
どの程度の速さで目標に向かっているのかに
ついても注視すると述べた。

今回のFOMCでは、ミネアポリス地区連銀の
コチャラコタ総裁が決定に反対した。

数値基準を撤廃すれば、インフレ目標達成への
取り組みでFRBへの信頼性が損なわれかねない
と主張した。