ロシア大統領、企業トップに海外資産を国内に戻すよう勧告

ロシアのプーチン大統領20日、ロシアによる
ウクライナ南部クリミア編入をめぐり西側諸国が
制裁を強めるなか、ロシア企業のトップに対し、
国外の資産をロシア国内に引き揚げるよう勧告した。

ロシア議会下院(国家会議)はこの日、
ウクライナ南部クリミアをロシアに編入する
条約を圧倒的多数で承認。

21日に予定される上院(連邦会議)の
採決で条約批准の手続きが完了する見通し。

プーチン大統領は、メディア企業を傘下に持つ
アリシェル・ウスマノフ氏や、ニッケル生産
世界最大手のノリリスク・ニッケルなどを
傘下に収めるウラジミール・ポターニン氏ら、
オリガルキ(新興財閥)として知られる
ロシア財界の要人を招いて会合を開いた。

席上プーチン大統領は、「ロシア企業は自国内で
登記されている必要がある。企業の所有形態も
透明にする必要がある」と発言。

ただ、クリミア編入をめぐる
動向には直接触れなかった。

ロシアでは税率が低いなどの理由から、
アルミニウム大手ルサールや鉄鋼大手
エブラズなどの資源関連企業のほか、
インターネット検索大手ヤンデックスなどの
大手企業が国外で登記。

ウスマノフ氏が傘下に置くインターネット企業
Mail.Ruは英領バージン諸島、別の新興財閥の
ミハイル・フリードマン氏が傘下に持つ小売の
X5リテール・グループはオランダの
アムステルダムで登記されている。

フリードマン氏はこの日の会合には出席していない。

プーチン大統領ウクライナに対し強硬な姿勢を
示していることで、ロシアの株価は急落。

今月だけで時価総額にして
500億ドルが失われた。

ロシアルーブル安にも
歯止めがかからず、年初から9%下落。

投資環境悪化につながっている。

こうしたなかロシアの経済成長も鈍っており、
1月の成長率は0.7%と、前月の1.0%から鈍化した。

ウクライナ問題の余波が
広がるにつれ、一段の鈍化が懸念されている。

同会合に出席したシルアノフ財務相は、
「ロシア経済、及び金融部門の状況が
どのように展開するか注視する」とした上で、
必要に応じて主要な国内企業や機関を
支援する方針を示した。