ロシア軍がウクライナ国境に大規模部隊、領土拡大視野か=NATO

北大西洋条約機構NATO欧州連合軍の
ブリードラブ最高司令官は23日、ロシア軍は
ウクライナとの国境地帯に大規模部隊を
集結させているとして懸念を表明した上で、
ロシアはクリミアの次に、モルドバ
沿ドニエストル編入を狙っている
可能性があるとの認識を示した。

シンクタンクのジャーマン・マーシャル・
ファンドが開催したイベントで述べた。

ブリードラブ司令官は、ロシアは(NATOの)
パートナーではなく、敵対者のような態度を
とっていると批判、NATOは東欧での部隊の
配備や即応能力について再考する必要がある
と主張した。

一方、ロシアは22日、編入を決めた
ウクライナ南部クリミア半島で、これまで
ウクライナ管理下にあった軍施設の掌握を
一段と進めた。

ブリードラブ司令官は「ウクライナ東部との
国境地帯に集結したロシア軍は、規模が
非常に大きく準備も整っている」との見方を
示した。

また、ブリンケン米大統領次席補佐官
(国家安全保障問題担当)はCNNで、
ロシア軍による大規模部隊集結について、
ウクライナの親欧派指導者を威嚇することが
目的なのかもしれないと述べる一方、
ロシアはロシア系住民の多いウクライナ東部に
侵攻する可能性があると警告。

「ロシア軍が侵攻の準備を
していることも十分考えられる」と述べた。

オランダで24日に開催されることが決まった
主要7カ国(G7)首脳会議では、ロシアの
行動への対応について意見交換が行われる。

オバマ米大統領とロシアの
ラブロフ外相の2国間協議も予定されている。

こうした欧米の警戒感に対して、ロシアの
アントノフ国防次官は、ロシア国営通信社の
タス通信に対して、ロシアはウクライナとの
国境付近で展開する軍の規模について、
国際的な合意に従っている、と反論。

また、ロシアのチジョフ欧州連合EU)大使は、
BBCの番組で、ロシアは「拡張主義的な見方」
をしていない、と強調。

同番組で、ロシアがクリミア以外の
ウクライナ領内に侵攻しないと約束できるか、
と聞かれると「ロシアにはそうした行動を
とる意図はない」と応じた。

共和党のマケイン上院議員は、
同じBBCの番組で、ウクライナでの
プーチン大統領の行動はヒトラー
似ている、と厳しく非難した。

一方、欧米の対ロシア制裁は23日、
効力が一部失われた。

ロシアのSMPバンクは、米ビザ、
マスターカードが同行顧客向け
決済サービスを再開したことを明らかにした。

ビザとマスターカードは21日、
SMPへのサービス停止を発表していた。

SMPバンクは主要株主が制裁対象と
なっているが、SMP自体は制裁の対象ではない。