家計のインフレ予想が2%へ収れん進む、物価目標で期待に変化=日銀

日銀は27日、2%の物価安定目標の導入によって、
家計の中長期のインフレ予想が2%に収れんしつつ
あるとするリポートを「日銀レビュー」として公表した。

日銀では、昨年4月に打ち出した異次元緩和において、
期待の転換を物価目標達成の重要な経路と
位置づけており、リポートは家計の期待変化を
うかがわせる内容になっている。

分析には、日銀が家計を対象に四半期ごとに
実施している「生活意識に関する
アンケート調査」を用いた。

同調査では、家計の物価見通し(消費税率
引き上げ分を除く)について、1年後と
5年後にそれぞれ「何%程度変化すると
思うか」との質問を設けている。

このうち、足元の市況の変動など一時的な
要因を受けにくく、基調的な物価観が
あらわれやすいとされる中長期(同調査では
5年)の物価見通しの動向を中心に分析した。

その結果、2013年は「1〜3%」の物価上昇を
予想する人の割合が36%となり、2012年の
29%から増加する一方、「0%以下」のデフレを
見込む割合が26%(2012年は32%)に低下。

これまではデフレを見込む向きの方が多かったが、
2013年に入って勢力が逆転した格好だ。

中でも最も割合が高い「2%」との予想は
10%から13%に上昇している。

また、足元で実際の物価が上昇しているにも
かかわらず、2%よりも高い物価上昇率
予想する割合が低下しており、日銀では
家計のインフレ予想が「2%近辺に
集中するようになっている」としている。

背景として「金融政策の
認知度が考えられる」と指摘。

アンケート調査では、日銀が2013年1月に
導入した2%の物価安定目標を知っているか
どうかも尋ねているが、物価安定目標を
認識している家計の方が、「見聞きしたことが
ない」とする家計よりも「2%」を予想する
割合が高いとの結論が得られた。

日銀では「金融政策に関する情報発信が、
家計の多様なインフレ予想を2%に
収れんさせる役割を果たしている可能性を
示唆している」とみている。