失業率は経済の緩みを適切に反映=米SF連銀調査論文
米サンフランシスコ地区連銀は21日、
失業率は経済の緩みを適切に反映しているとし、
経済成長率と失業率の相関性は保たれている
とする調査論文(エコノミックレター)を公表した。
失業率は経済の緩みを十分に反映しきれていない
との議論も出るなか、同論文は、1970年台以降の
景気後退局面では、失業率は経済成長が鈍化すると
上昇し、加速すると低下するといった動きを
示してきたが、金融危機以降も同様の動きが
見られたと指摘。
「経済の緩みを推し測る上で、失業率は
今も有用な手段となっている」とした。
経済学では、国内総生産(GDP)伸び率が
2%ポイント低下すれば、失業率が
1%ポイント上昇するとする
「オークンの法則」が知られている。
ただ金融危機後は、失業率が
この法則よりも速いペースで上昇。
一方、最近はこの法則よりも速く低下するなど、
同法則からかい離した動きが出ている。
こうしたなか、一部エコノミストの間では
基調的な変化があったとの見方も出ている。
また、米連邦準備理事会(FRB)は
数値基準としての失業率を撤廃した。
ただ、サンフランシスコ地区連銀は今回の
エコノミックレターで、失業率と経済成長率との
相関性が崩れているように見えることの背景には、
リアルタイムの経済指標が不完全であることが
挙げられると指摘。
また、オークンの法則が当てはまらない状態は、
景気後退期にはよく見られるとした。
その上で、改定後のGDP統計を見ると、経済成長率と
失業率の相関性は保たれていると指摘。
「われわれの調査によると、オークンの
法則は今も健全だ」と結論付けた。