金融政策正常化に向けた議論開始=米FOMC議事要旨

米連邦準備理事会(FRB)が21日に公表した
4月29〜30日分の連邦公開市場委員会FOMC
議事要旨によると、異例に緩和的な金融政策からの
撤退に向け、必要な政策手段についての具体的な
議論を始めたことが分かった。
ただ、最終的な決定は何もなかった。

現状の極めて緩和的な金融政策からの正常化や
どういった政策手段が最も効果的かという議論は、
FRBが事実上のゼロ金利政策や大量の証券購入を
伴う量的金融緩和の終了に向けた準備を進めている
ことを示している。

議事要旨は「今会合で(政策)正常化の選択肢を
検討し始めることが賢明であると参加者は総じて
賛同した。

委員会が政策正常化のやり方を決めたり、正常化の着手が
適切になるよりもかなり前の段階でその計画について
情報発信したりする上で有益となる」としている。

また会合ではFRBのスタッフから短期金利
引き上げる際のやり方がいくつか示された。

ただ、議論は現段階ではあくまでも「将来に
向けた計画の一部」と位置付けられ、「政策正常化が
すぐに始まるということを必ずしも意味しない」とされた。

投資家の大方は、利上げについて早くても
来年半ばまではないとみており、今回の
議事要旨がこうした見方を大きく変えることは
なかった。

米10年債利回りはほぼ横ばいで推移。

一方で米国株はいったん
上昇した後に上げ幅を縮小した。

ドルは円とユーロに対して
ほぼ横ばいだった。

議事要旨では、金融政策正常化に向けた
議論に加えて、インフレ圧力や所得増加に
関する議論がどの程度なされたかも
明らかになった。

何人かは、6.3%まで低下した足元の失業率が
示す以上の停滞が労働市場には残っているようだと
指摘し、賃金増加の伸びが鈍いことをその根拠として
挙げた。

地元地区に関して労働市場が引き締まってきたとし、
人手が不足している部門があると報告した参加者もいた。

複数の参加者が短期的な失業と比べると長期失業の方が
賃金増加と物価上昇を抑制する度合いが少ないとの
最近の研究について懐疑的な見方を示した。

参加者のひとりは、労働力が十分に活用されていない
という問題は、公式な失業率の低下とともに
解消されつつあるとした。