IMF、英国に住宅バブル対処を要請、高リスクローンの抑制促す

国際通貨基金IMF)は6日、英経済に関する
年次報告書を発表し、過熱気味の住宅市場の沈静化に向け、
リスクの高い住宅ローンの組成を抑制するよう求めた。

IMFは、英住宅市場で信用バブルが発生していることを
示す兆候はさほど見られないとしつつも、状況が急速に
変化する恐れはあるとし、金融機関は借り手の所得を
大幅に上回る住宅ローンの組成を控えるべきとけん制した。

ラガルドIMF専務理事は記者会見で、イングランド銀行
(英中銀)は住宅市場に端を発するリスク対応の
最前線に立ち、早期かつ緩やかなペースで銀行融資に
対処すべきとの見解を示した。

報告書は、住宅市場の沈静化に向けた取り組みが
奏功しなければ、英中銀は早い時期に利上げを
実施する用意を整える必要に迫られるとし、
「コストが生産の伸びを上回り、緩みが吸収され、
他の方策で金融安定をめぐる懸念に
対処できないようであれば、金融政策を
迅速に引き締める必要が出てくる可能性が
ある」と指摘した。

会見に同席したオズボーン英財務相は、
住宅市場の動向を警戒しているとし、
英中銀は必要であれば行動を
躊躇すべきではないと言明した。

住宅関連指標のひとつによると、英住宅価格は
過去1年で11%超上昇と、金融危機
直前以来の高い伸びを記録している。

カーニー英中銀総裁は5月、住宅市場の動向が
英景気回復への最大の脅威とし、住宅ローン関連の
新規制を検討していることを明らかにした。

IMFは全般的な英経済について、リセッション
(景気後退)再突入の瀬戸際にあった1年前に
発表された報告書と比べ、景気判断は
大きく引き上げられた。

ラガルド専務理事は、IMFの見通しは誤っていたとし、
「英経済成長を明らかに過小評価していた」と述べた。