独連銀総裁が資産購入に反対、「政府への甘い毒薬」

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの
イトマン独連銀総裁は12日、資産買い入れについて、
中銀の責務達成に向けた能力を阻害しかねない
「政府への甘い毒薬」とし、反対の立場を改めて
鮮明にした。

イトマン総裁は、ドラギECB総裁がユーロ守るため
「必要なことは何でもする」とのコミットメントの下
2012年に打ち出した新たな国債買い入れプログラム
(OMT)に反対した、唯一のECB当局者。

ドラギ総裁のコミットメント表明以降、
ユーロ圏債利回りは大幅に低下しているものの、
イトマン総裁は利回り低下がユーロ圏で
求められている改革を遅らせることを
奨励しかねないとけん制。

ドブロブニククロアチア)での夕食会向け講演原稿で
「金融市場は異なる見方を示しているかもしれないが、
危機の終息からは程遠い」と強調した。

ECBは6月の理事会で、政策金利を過去最低に
引き下げるとともに、中銀預金金利のマイナスへの
引き下げを含む一連の支援策を発表した。

ドラギ総裁は、必要に応じ一段の措置を講じていくと
強調したが、ECBに実質的に残された選択肢は大規模な
資産買い入れプログラムのみとなっている。

イトマン総裁は「資産買い入れは、政府にとり
甘い毒薬のような作用があるかもしれない」とし、
「買い入れが縮小、もしくは完了した段階で、
不快なショックを受ける可能性がある」との考えを
示した。

ソブリン債の買い入れは金融政策手段として
広く利用されているが、リスクを伴わないという
わけではない」と強調。

「資産購入は金融政策を財政ファイナンスに限りなく
近付けることから、物価安定を維持する責務を果たす
中銀の能力を脅かす恐れがある」と警鐘を鳴らした。