日銀副総裁が決済高度化の重要性強調、即時処理など働きかけ

日銀の中曽宏副総裁が、銀行振り込みにおける
入金の即時処理や振り込みに際しての商取引情報の
拡大など決済サービス向上に向けて、金融界や
産業界に働きかけを行っていく考えを示した。

決済システムの高度化が、「積年の課題」と
位置づける円の国際化にも不可欠と強調した。

23日の静岡市での講演と記者会見で語った。

中曽副総裁は午前の講演で、日本経済が持続的な
成長を遂げていくには「決済ニーズの多様化や
金融のグローバル化に応じた決済サービスの
高度化を図ることも重要」と言及した。

政府が6月に閣議決定した成長戦略にも日銀ネットの
稼働時間延長を活用した資金・証券決済の高度化が
盛り込まれており、政府と連携して決済の高度化に
取り組んでいく姿勢を強調したかたちだ。

午後の会見でも決済システムについて、
日銀としてできることが2つあると指摘。

日銀自ら決済手段を提供してシステムを
運営することや、日本の決済システム全体の
安定性と効率性の確保に向けて関係者に
働きかけることを挙げた。

前者について日銀では、次世代決済システムである
「新日銀ネット」の稼働時間を2016年2月から
午後9時まで延長する計画。

これによってアジアを中心に海外に進出した
日本企業の国際的な資金決済や、邦銀の
日本国債を担保とした外貨調達などに
対応できるという。

中曽副総裁は「日本円や日本国債をいつでも
どこでも受け渡しできるインフラを整備することは、
積年の課題である円の国際化を決済面から
サポートするもの」と意義を説明した。

後者では、銀行振り込みにおける入金の即時処理化や
決済電文への商取引情報の添付拡張を指摘。

現状では即時処理が可能な時間帯が平日午前8時半から
午後3時半までとなっており、例えば即時処理が
24時間365日可能となれば、利便性は大きく向上する。

決済電文の情報拡大によって、売買された商品など
属性情報が追加されれば、企業の事務負担が大きく
効率化する可能性もある。

もっとも、こうした取り組みは「銀行界や
産業界において進められるもの」とも指摘。

金融界からはコスト増を懸念する声も出ているが、
英国やシンガポール、オーストラリアなどでは
即時処理がすでに導入、または計画が進んでおり
「日本として遅れをとることはできない」と
危機感を表明した。