デフレ脱却へ良い兆候、今後も金融政策で下支え=白井日銀審議委員

白井さゆり日銀審議委員は23日にシンガポールで講演し、
日本経済は昨年4月の量的・質的金融緩和(QQE)の
導入以降、デフレ脱却に向けて良い兆候を示しており、
今後も金融政策で下支えしていくことが重要だと語った。

日銀が24日、ホームページで
講演内容を公表した。

白井委員は、QQEの導入以降、日本経済が
「デフレからの脱却に向けた良い兆候を
示しつつあるのは明白」と効果を強調。

企業では販売価格を引き上げに「自信を強めている
先もあるようだ」とし、家計も「雇用の拡大と
名目賃金の改善を甘受する数が増えている」と語った。

もっとも、国民のデフレマインドとそれに伴う
リスク回避的な経済行動が変わるには「それなりに
時間がかかる」と指摘。

今後も金融政策によって「この変化と景気回復を
しっかり下支えしていくことが重要」との認識を示した。

その上で、日銀が目標に掲げる物価2%の
「安定的な維持」は長期予想インフレ率を
2%程度に安定化させることと「同義」とし、
5年先などの長期の予想インフレ率が上昇傾向を
示していることは「前向きな動き」と語った。

もっとも、予想インフレ率は指標によっては
「区々の動き」がみられるとし、「上昇傾向が
続いていくのか注視していく必要がある」と指摘した。

また、日銀がマネタリーベースの増加額を
金融市場調節の目標としているため、
フォワドガイダンスも「QQE全体」に
適用されていると指摘。

マネタリーベースと長期国債を中心とした
資産買い入れは「不可分」の関係にあるとし、
フォワドガイダンスによって、将来に
わたってマネタリーベースの増額と資産買い入れを
維持するとのメッセージを市場・国民に
発信している」と語った。

リーマンショック後の世界的な金融危機
きっかけにマクロプルーデンス政策の重要性が
高まっているが、「金融不均衡に対して中央銀行
とれるもう一つのアプローチとして、超過準備への
付利あるいはリバースレポ金利を使って潤沢な
流動性を抑制する考えも最近注目されている」と発言。

中銀が超過準備をコントロールすることで、
金融システムの安定に寄与する可能性が
あるとの考えも示した。