米・世界の景気回復は「期待外れ」=フィッシャーFRB副議長

米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は11日、
これまでの米国と世界の景気回復について「期待外れ」と
述べた上で、潜在成長率の永久的な下方シフトを示唆する
可能性があるとの見方を示した。

スウェーデンでの経済会議で行う、2007〜2009年の
金融危機とリセッション(景気後退)以降の経済情勢に
関する講演原稿で述べた。

副議長は、生産性の鈍化や労働参加率の低下などの
要因によって、経済成長を生み出す米国の力が
損なわれている可能性がある、と指摘。

欧州や主要新興国でも同様のことが起きている
可能性があるとし、中銀はインフレや雇用、
成長全般の認識修正を迫られていると述べた。

副議長は「世界経済の回復は期待外れ」と述べた。

米国の長期的な年間成長率はおそらく2%程度にすぎず、
2009年にFRBの政策当局者が推定した水準より
1%ポイントも低くなっている、と指摘した。

原因の一端は一時的なものである可能性があり、
例えば、米住宅市場が改善すれば変わるかもしれない、
とする一方で「世界経済のより構造的、より長期的な
シフトを反映しているとも考えられる」と述べた。

副議長は、中銀が近年、経済を支援するために
導入した非伝統的措置を終わらせる上で、
政策当局者が直面する課題について言及した。

生産性の伸び鈍化や労働参加率の低下が今や、
米経済にとって普通の状態になったのかどうかは
なお不明であり、成長やインフレ、労働・製品市場の
緩みに関する予想が複雑になっている、との認識を示した。

4兆ドルを超えるFRBのバランスシートも、
短期金利の管理を難しくしている要因と指摘。

その上で、FRBは準備預金への付利など、
目標金利を維持する上で有効な一連の
ツールを持っていると述べた。

危機以来、金融の安定維持に向けて中銀が
果たすべき役割に関する議論が活発になっている。

副議長は中銀の積極介入を持論としている。

副議長は、金融の安定性を維持するには、
マクロプルーデンス政策や規制ツールを
まず活用すべき、と主張。

金利水準の変更など、金融政策のより直接的な措置は、
最終手段であるべきだ、との見方を示した。