世界の不均衡が縮小、資金フロー反転による脅威低減=IMF

国際通貨基金IMF)は30日、「世界経済見通し」の
一部を公表し、世界の貿易、投資フローの不均衡が
8年前のピークから3分の1以上縮小したと指摘した。

今後も縮小傾向が続き、世界経済への
脅威が低減する見込みという。

経常赤字国の需要が減退したことが不均衡縮小の主因で、
これらの国では失業率が上昇し、低成長に陥っているとした。

先進国の需要弱含みは継続し、経常赤字は
縮小傾向が続くと予想している。

だがIMFは、トルコやブラジル、ニュージーランドなど
一部の国は、今後5年に経常赤字が拡大し、資金フローが
逆流した際に大きな打撃を受ける恐れがあると指摘した。

IMFは「大規模な不均衡が解消したことで、
世界経済へのシステミックリスクが後退した」
と分析。

日米中など経済大国への不均衡集中も改善傾向に
あるとし、「急な(フロー)反転のリスクも後退した
公算が大きい」と指摘した。

また欧州の経常黒字国は一段の調整余地があるとして、
ドイツに対し、ギリシャアイルランドポルトガル
スペインなど他のユーロ圏諸国からの輸入を増やし、
不均衡是正に寄与するよう暗に求めた。

米国については、今後5年に脆弱性が増大する
唯一の主要債務国だとし、世界全体の国内総生産
GDP)に対する純対外債務の比率は、2006年の
4%から8.5%に上昇すると予想した。

ただ、投資家が米資産への信頼を失う公算は
小さいとの見方も示し、ドルが準備通貨としての
地位を失う可能性は8年前と比べて低いとした。