9月の日銀短観は円安で製造業と非製造業に明暗、設備投資計画しっかり

日銀が1日発表した9月全国企業短期経済観測調査
(短観)では、大企業製造業の業況判断DIが
プラス13となり、2四半期ぶりに改善した。

一方、同非製造業はプラス13と前回6月調査から
6ポイント悪化しており、足元の円安進行や
消費税率引き上げに伴う反動減の影響などで、
企業マインドの明暗がくっきりと浮かび上がった。

設備投資など事業計画は総じて
しっかりした内容が維持されている。

業況判断DIは大企業製造業がプラス13と
前回調査から1ポイント改善し、2期ぶりの
改善を示した。

事前の予想では、小幅悪化を見込む声が多かったが、
足元の円安進行を背景とした収益増見通しなどが
追い風になった可能性が大きい。

先行きはプラス13と
横ばいが見込まれている。

大企業製造業の2014年度の
想定為替レートは、1ドル=100.73円。

9月調査としては2008年度以来の円安水準だが、
足元のドル/円は109円後半と一段の
円安方向の動きとなっている。

好調な収益見通しを背景に、大企業製造業の
2014年度の設備投資計画も好調を維持。

例年は9月調査で下方修正されるケースが多いが、
今回は前年比13.4%増と0.6ポイントの上方修正。

日銀では「過去の修正パターンに比べて強め」
(調査統計局幹部)とみており、内容も維持・
更新投資のほか「能力増強投資も相応に
みられる」(同)としている。

一方、大企業非製造業や
中小企業の景況感は、相対的に慎重。

大企業非製造業は足元でプラス13と
前回調査に比べて6ポイントの悪化となった。

悪化は2四半期連続。

先行きの仕入れ価格上昇が見込まれていることに加え、
国内の製商品・サービスの需給判断DIが大企業非製造業で
マイナス11と3ポイントの供給超過方向の動きとなっており、
円安進行に伴う原材料価格の上昇や、夏場の天候不順を
含めた消費増税後の国内景気の戻りの鈍さなどが
意識された可能性がある。

日銀では短観を受け、消費増税の反動減からの回復が
「後ずれしている」(同)との判断を示している。

もっとも、先行きは大企業非製造業でプラス14と
1ポイントの改善が見込まれている。

先行き改善予想は6期ぶりで、
さらなる悪化は想定されていない。

事業計画もしっかりしており、大企業非製造業の
2014年度設備投資計画は前年比6.3%増と
1.3ポイントの上方修正となった。

今回の短観からは、企業の人手不足感が
一段と強まっていることが確認された。

雇用人員判断は大企業非製造業でマイナス16となり、
2008年3月調査以来の水準まで不足感が強まった。

大企業非製造業もマイナス1と2008年
9月調査以来となる不足超に転換。

生産・営業用設備判断も大企業製造業で
2ポイントの不足超方向の動きとなるなど、
雇用・設備の需給の引き締まりが続いている。