世界経済の成長低迷長引く恐れ、回復弱い=IMF専務理事

国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事は2日、
各国が高債務と低雇用からの脱却に苦戦するなか、
世界的に低成長が長期化する恐れがあるとの見方を
示した。

専務理事は来週ワシントンで開かれるIMF
世銀年次総会を前にジョージタウン大学で講演。

景気回復はIMFが半年前に示した予想より弱まっており、
特にユーロ圏で低成長が長期化する恐れがあるとの見方を
示した。

その上で「景気は回復しているが、成長と雇用の水準は
十分改善したとは言えない」と指摘、一段の取り組みが
必要と主張した。

IMFは7月に発表した最新の世界経済予測で、
世界的な経済成長率は2014年は3.4%、
2015年は4%になると予想。

ただ、ラガルド専務理事はIMFが世界経済の
潜在成長率予測を引き下げたことを明らかにした。

また、世界経済の上に立ち込める「暗雲」の1つとして、
主要中銀の金融政策の方向性に違いが出ていることを指摘。

米連邦準備理事会(FRB)、日銀、欧州中央銀行(ECB)
などは景気を支援するため共に大幅な緩和策を実施しているが、
FRB、及びイングランド銀行(英中央銀行)は金融政策の
正常化に向け動き始めている。

同専務理事は、こうした政策の方向性の違いで
外国為替相場が乱高下する恐れがあると指摘。

さらに、「緩和的な金融政策が長期間維持されれば、
金融市場における過剰が膨らむリスクも大きくなる」
と警告した。

さらに、ウクライナ、中東、一部アジア諸国
見られる地政学リスクにより景気回復が頓挫する
恐れもあると指摘。

西アフリカを中心に感染が拡大している
エボラ出血熱もリスクの1つとして挙げた。