円安は日本経済にマイナスではない、輸出・企業収益が改善=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は3日午後の衆院予算委員会で、
円安の進行によって輸入物価が上昇する一方、
輸出や企業収益が改善するとし、円安は
日本経済全体にとってマイナスではない
との認識を改めて示した。

前原誠司委員(民主)の質問に答えた。

総裁は円安が日本経済に与える影響について
「価格弾力性の低いエネルギー関係の輸入物価を
押し上げていくことは事実だが、輸出あるいは
グローバルに展開している企業の収益を
良くする面もある」との認識を示した。

また、産業別にみても特に大企業製造業には
大きな恩恵があるのに対し、輸入品のコスト上昇で
非製造業にはマイナスになると語った。

その上で、エネルギー価格自体が上がっていく場合は、
日本のような資源輸入国の経済にはマイナス効果しかないが、
「為替の動きの場合には両方の効果がある」と指摘。

「経済実態に合った円安は、経済全体としておそらくプラス。
円安が日本経済全体に対してマイナスになることはない」
との考えを改めて示した。

現在の物価上昇は、円安進行に伴うコストプッシュ型の
悪いインフレとの指摘に対して総裁は「消費者物価全体が
どのように動くかは、一定の期間でみると需要動向が
影響する」とし、今年度後半にかけて労働市場
中心とした需給のひっ迫によって物価が少しずつ
上昇していくとの見方を示した。