ECBのABS買い入れ、当局者間で意見対立

欧州中央銀行(ECB)は、資産担保証券(ABS)の
買い入れに関し、少なくとも当初は外部の銀行
あるいは資産運用のプロに委託する方針だが、
この前例のない計画をめぐっては当局者らの間に
見解の相違がみられる。

買い入れの委託は、各国の中銀に任務に必要な
専門知識が不足しているとの懸念を反映している。

ただ、ECBの理事会内では、ABS買い入れの
進め方だけでなく、ユーロ圏の銀行貸し出しを
活性化するためにECBがどこまで踏み込んだ
措置を実施すべきかについて意見が対立している。

主要な政策措置についての意見の対立は、
デフレ阻止に向けたECBの決意を弱めかねない。

また、量的緩和といった一段の緩和に迅速に
着手できるかについて、疑念が生じる可能性がある。

ECB理事会メンバーであるバイトマン独連銀総裁は、
ABS買い入れ計画に不快感を示し、ECBは民間銀行が
負担する信用リスクを引き受け、納税者に
転嫁するべきではないとの見解を示している。

財務省の報道官は6日、ECBの
ABS買い入れを注視すると表明した。

一方、関係筋によると、ECB理事会メンバーの
ノワイエ・フランス銀行総裁はABS買い入れに
基本的に賛同しながらも、ユーロ圏の規模の
大きい中銀は証券を評価し、買い入れを行う能力を
十分に有しているとの認識を示している。

関係筋の1人は、「ノワイエ氏は民間部門に
任せることを望んでいない」とした。

ECBの広報担当者は、「ABS買い入れは、
外部のサービス提供者を選定してから、
今四半期内に開始する。現在選定プロセスが
続いている」とした。

複数の関係筋によると、ドイツ銀行傘下で資産運用を
手掛けるDWSが委託先候補になる可能性が浮上している。

ECBの委託先となった場合の契約の規模は明らかではない。

事情に詳しい関係筋によると、ECB理事会は
来週の金融政策以外の業務に関わる会合か、
11月の金融政策決定会合で、外部の委託先について
決定する可能性がある。

ECBは8月、ABS買い入れプログラムの設計、
実施に関するアドバイザーとして資産運用会社
ブラックロック・ソリューションズを起用した
と明らかにしていた。

ただ、実際の買い入れに外部の
機関を巻き込むのは前例がない。