日銀決定会合、黒田総裁がQQEは期間限定でないと明言

日銀は6〜7日の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和
(QQE)の現状維持を決めた。

軟調な鉱工業生産を反映して生産の判断を引き下げたが、
景気が緩やかな回復を続けているとの基調判断は据え置いた。

黒田東彦総裁は会見でQQEは「カレンダーベース
(期間限定)ではない」とし、期限を2年に限定しては
いない点を改めて強調した。

足元の急速な円安については、日本経済にプラス
との見方を繰り返したものの、やや慎重な言い回しで
表現した。

会合2日目の7日は、黒田総裁が参院予算委員会
出席するため、1時間半弱会合が中断された。

総裁の国会出席のための会合中断は速水優総裁時代の
1998年9月以来で、16年ぶりの異例な事態だ。

会合では景気について「緩やかな回復を続けている」
との総括判断を据え置いたが、「生産面を中心に
弱めの動きがみられている」との表現が加わった。

生産については「在庫調整の動きもあって
このところ弱めの動き」とし、従来の
「基調として緩やかな増加」から下方修正した。

個人消費について反動の影響が「ばらつきを
伴いつつも全体として和らいできている」とし、
従来の「徐々に和らぎつつある」から小幅に変更した。

委員の中で木内登英氏が、従来通り2%の
物価上昇率達成を緩やかな目標とするよう提案し、
反対多数で否決された。

白井さゆり委員は「予想物価上昇率が全体として
上昇している」との文言を「横ばい指標が多く
なっているものの、やや長い目でみれば上昇傾向は
続いている」と変更するよう提案し、否決された。

会見で黒田総裁はQQEについて、期間を2年と
限定したものではなく、「物価目標を実現し、
安定的に持続するまで続ける」と改めて述べた。

一方、「2年程度の期間を念頭にできるだけ
早期に実現するためQQEを導入した意図に
変わりはない」と述べ、現時点で「2年」の
旗は降ろさない姿勢を強調した。

9月以降の急激な円安について「テンポが速い
という見方や、行き過ぎたもの(円高)の是正、
日米金融政策の違いという人々もいる」と指摘。

「これまでのところ、行き過ぎた円高の是正や
日米の金融政策の違いに注目した自然な動き」とした。

為替については「重要な指標のひとつ。水準や
1日の変化率ではなく、実体経済や金融の状況から
物価への影響に着目」していると述べ、「そのような
観点から見て、何か異常なことが起こっているとは
思わない」と述べた。

もっとも、円安の背景について「金融政策や各国の
成長率など様々な要因がからまっている」と述べ、
これまでにない説明を付け加えたことが注目を集めた。