格差拡大を非常に憂慮、過去100年で最大水準近く=イエレン議長

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は17日、
所得や富の格差拡大を「非常に」憂慮している
との認識を示した。

地区連銀主催の会議での
講演原稿で明らかになった。

最近の市場のボラティリティーや
金融政策には言及しなかった。

議長は「過去数十年間の格差拡大を要約すれば、
富裕層の所得や富が著しく増大する一方、
大半の所得層では生活水準が低迷している
状態と言える。このことは明白だ」と指摘した。

その上で「こうした傾向が、わが国の歴史に
根ざした価値観、中でも米国民が伝統的に
重きを置いてきた機会の平等に照らして
どうなのかと問うことが適切だ」と話した。

FRBが前月公表した調査によると、米国の
所得格差は昨今の金融危機で拡大し、富は
上位3%の富裕層に集中していることが
分かっている。

イエレン議長は、過去2年の住宅価格の持ち直しが
低所得層の富の回復に寄与したとの認識を示した。

一方で、高等教育の費用増加など、機会均等の
欠如を招く原因について複数言及。

ビジネス形成の鈍化が生産性を抑制する
可能性があり、経済機会への新たな脅威に
なっていると指摘した。

また学校予算に関し他国との比較に言及したほか、
一部推計によると「所得と富の格差は過去約100年で
最大の水準に近い」とも述べた。

議長は、この会合で質問は受け付けず、
最近の市場急落を受けた米経済の見通しにも
言及しなかった。