振れの激しい動きも

今週の為替相場は、振れの
激しい展開が予想されます。

世界経済の見通しが下方修正されたことが
為替相場変動の大きな要因となりました。

欧州経済の深刻な落ち込み、デフレ懸念を
背景にユーロが急落、欧州の株価も大幅に
下落しました。

米国では、一部経済指標の悪化をきっかけに、
経済の先行き懸念が台頭しました。

加えて、米国内でエボラ熱が発症したことなどで、
これが米国経済に悪影響を与えるとの見方も
ドル売りに拍車がかかりました。

これまで、米景気回復、利上げ間近の思惑から
ドルが上昇していた反動のドル売りが持ち込まれた、
との声も出ています。

ドル買いに勢いがついていた反動の
ドル売りだと見られていたわけです。

世界経済に対する悲観的な見方は、今後も続き、
特にユーロ圏に対する懸念は強まるものと思います。

ユーロ圏の景気の先行き、金融政策に対する、
各国の思惑の違いが一段と強まることになると
思います。

今、ユーロ圏では、好調だった
ドイツ経済に対する懸念が広がっています。

米国をはじめ、主要国はドイツに対して、
財政出動を求めていますが、ドイツは
そうした声に耳を貸しません。

むしろ、財政規律を重んじる姿勢を見せて、
ユーロ圏の他の国も、財政規律を重んじるように
求めています。

これに対し、他のユーロ圏参加国では、
異を唱える声が出ています。

こうしたユーロ圏の
不協和音を市場は見ています。

その結果、ユーロ売りが
先行しているのです。

ドル、ユーロはこのような
弱点を抱えているわけです。

一方、円は超緩和策は継続されているものの、
さらなる緩和は見えていません。

消費税率引き上げ観測も、大勢は
引き上げやむ無しになっていますが、
景気の実態を考えれば、消費税率引き上げは
微妙な情勢になって来ました。

市場は、そうした動きを睨んで、
リスク回避の円買いを持ち込んだと
見ています。

ただ、予想外に円買いが進んだことで、
その巻き戻しが出ています。

105円を超えるような動きが出れば、
次の目標は100円になると思います。

この程度の水準なら、円安を懸念し始めた
日本にとって、良い兆候になるかも知れません。

円安が日本経済についても与えるマイナスの
動きを解消してくれるのかも知れません。

ただこれも、急激な動きになると、
牽制する発言が出てきます。

102〜108円程度のレンジで緩やかな動きに
なることを当局は望んでいるのではないでしょうか。

予想レンジは、
ドル円が103.20〜108.20円、
ユーロ円が132.20〜138.20円、
英ポンド円が167.20〜173.20円、
ドル円が88.20〜95.20円。