日本は2015年0.8%成長、賃上げと公債残高がリスク=OECD

経済協力開発機構OECD)が25日発表した
経済見通しによると、日本は2014年に0.4%程度の
非常に弱い成長にとどまるが、2015年には賃上げや
金融緩和効果を前提に0.8%成長へやや回復する見込み。

必要なのは来春のしっかりとした賃上げと、
構造改革の実施だと指摘している。

加えて財政再建目標達成に向け、歳入への大幅な
追加措置や、歳出面での高齢化措置の削減が
必要だとした。

今回の見通しは、安倍晋三首相が消費税率10%への
引き上げを2017年4月に延期したことを反映している。

説明に当たったランダム・ジョーンズ・経済局日本・
韓国課長は、日本は2四半期連続のマイナス成長と
なったが、OECDではリセッションに陥ったとは
見ていないとした。

日本が2015年に成長率が回復するための最大の
課題として、来年春闘における賃上げがしっかり
行われることだと指摘した。

というのも、2014年は消費税率の引き上げに
賃金の伸びが追いつかず、実質賃金が低下した。

2015年は、生産年齢人口が年1.5%低下しているなど
労働力不足が強まっていることから1人当たり賃金
(名目)は2014年の前年比1.0%から2.4%に
力強く増加、実質賃金が上昇すると見込んでいる。

これが民間消費を支えるとして、GDPベースの
民間消費は2014年のマイナス0.9%から2015年は
1.0%へ拡大する見通しを示した。

またOECDでは、世界貿易が回復するにつれて、
円安を背景に輸出の伸びを維持することもできる
とみている。

他方で財政再建については、10%への
消費税率引き上げの延期はあるものの、
公共投資の削減を中心とする歳出削減により、
基礎的財政収支の赤字は改善する見通し。

しかし2020年度の黒字確保、さらには公的債務残高
GDP比の安定的低下をもたらすためには、大幅な
追加的措置を歳入面、そして特に高齢化関係経費を
中心に歳出面で行う必要があるとした。

日銀による量的・質的金融緩和策は、物価目標が
安定的に達成されるまで継続されるべきだと指摘。

10月末に日銀が実施した追加緩和措置は、長期金利
上昇を抑え、物価を高めることに役立つだろうと評価した。

しかし物価(コアCPI)は、成長率低下と原油・商品市況の
下落で2014年後半に1%程度に減速する見込みで、OECD
見通しでは2016年になっても1.6%と目標の2%には
届かないとみている。

こうしたシナリオに対して、リスクは
下押し方向にあるとも指摘。

正規雇用の増加といった要因による賃金上昇の
緩慢さは、物価・賃金・企業収益への好循環に
とって主要なリスクとなる。

世界経済の脆弱さも、
リスク要因として上げている。

さらに、経済停滞を避けるための財政出動
ありうるが、財政再建目標の実現をさらに
難しくし、未曽有に高い公債残高に伴う
リスクにも留意する必要があるとした。