円安選挙の争点に、原油安の背後に政治的要因=渡辺JBIC総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史総裁(元財務官)は27日、
記者団との懇談で、円安が進むことで、恩恵を受ける地域や
産業と受けない地域・産業の「濃淡が濃くなる」として、
衆院選の争点になり得るとの見解を示した。

原油安の背景については、新興国の需要減や
米金融緩和縮小では十分な説明が難しく、
「政治的な要因」もあるとの声を紹介した。

渡辺総裁は9月に、さらなる円安進行が
「かなりの産業で損益にマイナス」と
発言(9月3日)していた。

27日の懇談でも、円安進行が「プラスに効くところと
マイナスに効くところがある」、「中小企業向け円安対策など
過去十数年なかった」と指摘。

「東京と地方、産業ごとに影響の濃淡があり、
円安が進めば進むほど濃淡がより強くなっている」
と説明。

「今度の選挙などにも、ある程度影響が
あるかもしれない」との見方を示した。

原油市況の下落については、このほど訪問した
湾岸諸国でのヒヤリングを踏まえ、「サウジアラビア
減産を表明していない以上、今の状況が放置され
下落圧力がかる」と指摘した。

下落理由として「表向き言われている新興国
需要停滞だけでなく、ある程度政治的な要因も
あるとの声が多かった」と紹介。

あくまで自身の見解でないと強調した上で
「湾岸諸国の政治的地位が落ちないように、
非効率的なシェール(ガス・オイル)の生産を
抑制することを『サウジが考えることはある』」
との見解を例示した。

米国が金融緩和を縮小したことで、これまで原油など
商品市場に流入していた資金が流出するのも原油
下落要因とされるが、「米長期金利が2%台(の低位に)
とどまっており、現状の説明になっていない」と分析した。