黒田日銀総裁、2%目標道半ばで原油動向「無視できない」

日銀の黒田東彦総裁は19日の金融政策決定会合後の
記者会見で、人々の物価観が目標とする2%まで
上がりきっていない現状では、原油などの動向を
無視できないと述べ、中期的には日本経済に
プラスとなる原油下落が要因であっても、
必要ならば追加緩和を辞さない姿勢をにじませた。

ロシア通貨暴落による市場への
影響なども注視するとした。

会合では10月末の追加緩和で決めた資金供給量を
年80兆円増やす現行の量的・質的緩和政策の維持を決めた。

日銀は今年10月31日に追加緩和に踏み切った際、
消費増税後の消費の回復の遅れとともに足元の
原油価格下落について、ようやくデフレ感覚から
脱却しつつある物価観(予想物価上昇率)を
押し下げかねないとして重視する姿勢を示した
経緯がある。

黒田総裁はこの日も、日本の予想物価上昇率
「ゼロ%近辺から1%前後まで上昇した」が、
「2%の目標にはアンカーされていない」と述べた。

「当然、目標に向けて上下双方向のリスクに
対応するのは極めて自然」とし、「原油価格や
為替など(物価に影響のある様々な要因を)無視して
よいということはない。十分勘案しながら適切な
対応をする」と明言した。

物価の下落要因が原油などであっても、必要があれば
追加緩和を辞さない姿勢を示し、「必要ならば
なんでもやる」とも強調した。

現時点では「2015年度を中心とする期間に物価が
2%に達する見通しを維持する」としつつ、
原油安のため「来年前半に物価上昇率
加速するとは考えにくいかもしれない」と述べた。

もっとも原油価格の下落は、資源輸入国である
日本にとってはプラスとも強調。

「物価が下落する要因はいずれはく落し、経済活動に
好影響を与え、基調的には物価を押し上げる要因に
なり得る」とした。