日銀が賛成多数で量的・質的緩和継続、輸出・生産判断を上方修正

日銀は19日の金融政策決定会合で、10月末の
追加緩和で拡大した量的・質的金融緩和(QQE)の
継続を賛成多数(賛成8・反対1)で決定した。

前回に続き、木内登英審議委員が追加緩和前の
政策に戻すべきと主張して反対した。

景気の現状は「緩やかな回復」との認識を維持し、
輸出と生産の判断を上方修正した。

足元の景気について日銀は、「基調的に緩やかな
回復を続けている」とし、消費税率引き上げに伴う
駆け込み需要の反動減などの影響も
「和らいでいる」との認識を示した。

先行きも景気は「緩やかな回復基調を続ける」とし、
反動減などの影響は「収束していく」との見方を示した。

内容をみると、足元で鉱工業生産に底打ち感が
みられる中、生産の判断を前月までの「弱めの
動きが残っている」から「下げ止まりつつある」に
上方修正。

輸出も「横ばい圏内の動き」から「持ち直しの
動きがみられている」に引き上げた。

住宅投資も「下げ止まりに向けた動き」から
「下げ止まりつつある」に前進させている。

設備投資や個人消費公共投資などに
ついては判断を据え置いた。

12月調査日銀短観の内容を踏まえ、企業の
景況感について「一部に慎重な動きも
みられているが、総じて良好な水準が
維持されている」との認識を示した。

物価については、消費税率引き上げの影響を
除いた消費者物価(生鮮食品除く)の前年比
上昇率が「1%程度となっている」とし、
原油価格の急落で一段の鈍化観測が根強い。

先行きについても「当面現状程度のプラス幅で
推移する」との見方を維持した。

予想物価上昇率は「やや長い目でみれば、
全体として上昇しているとみられる」
との表現を据え置いた。

リスク要因も前回と同様。

新興国・資源国経済の動向、欧州における
債務問題の展望や低インフレ長期化のリスク、
米国経済の回復ペースをあげている。

金融政策運営では、QQEは「所期の効果を
発揮している」とし、日銀が掲げる2%の
物価安定目標の実現を目指して「これを安定的に
持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を
継続する」とし、「経済・物価情勢について
上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を
行う」ことを改めて表明した。

また木内委員は、これまでに引き続き2%物価目標の
達成を緩やかなものとし、2015年春をメドに異次元
緩和のあり方を見直すよう提案したが、
反対多数で否決された。