12月の日銀金融経済月報、「企業物価は当面下落」=需給ギャップは7〜9月に小幅悪化

日銀が22日公表した12月の金融経済月報は、
当面の物価について、企業物価は「下落を続ける」、
消費者物価は「現状程度のプラス幅で推移する」
との見方を示し、11月月報の判断を据え置いた。

原油価格の急落で消費者物価指数は今後の急落が
予想されているが、現時点では見通しの表現は
変更しなかった。

日銀が金融政策運営の目安とする生鮮食品を除く
消費者物価指数(コアCPI)は、ことし4月に
前年比プラス1.5%(消費税の影響除く)まで
上昇したものの、10月は0.9%までプラス幅が縮小した。

今週末26日に公表される11月の指数はさらに
プラス幅が圧縮する見通し。

1%近傍が継続するとの日銀の見通しが
いつまで維持されうるのか注目されている。

景気の現状については「基調的には緩やかな
回復を続けている」としつつ、消費税の
駆け込みの影響は「全体として和らいでいる」
との新たな文言を追加することで、判断を
小幅上方修正した。

11月と比べ、輸出は「持ち直しつつある」
として小幅上方修正、住宅投資も「下げ止まり
つつある」と小幅上昇修正、鉱工業生産も
「在庫調整の進捗もあって、下げ止まりつつある」
と上方修正した。

景気の先行きについても、消費税の反動の影響は
「収束していく」とし、従来の「次第に収束に
向かっていく」から小幅上方修正した。

輸出も「増加していく」とし従来の
「増加に向かっていく」から引き上げた。

10〜12月の鉱工業生産についても「緩やかな
増加に転じる」とし、従来の「緩やかな持ち直しに
転じる」から判断を引き上げた。

また、7〜9月期の需給ギャップ推計値は
マイナス0.3%となり、4〜6月期の
マイナス0.2%から供給過剰方向に
やや悪化した。

輸出・生産の低迷で設備の
過剰感がやや高まったことが要因。

10〜12月以降は生産・輸出の好転から
需要超過方向に改善をたどると日銀はみている。

4〜6月期の推計値については、従来の
マイナス0.1%からマイナス0.2%に下方修正した。

日本経済のマクロ的な需給バランスを示す
需給ギャップは、人々の物価観を示す
予想物価上昇率とともに、物価を左右する
2大要因として日銀が重視している。

リーマン・ショック後の2009年1〜3月は
マイナス7.62%まで供給過剰幅が拡大したのを
底に改善基調をたどり、今年1〜3月は
プラス0.33%の需要超過にまで改善していた。

ところが、4月の消費税引き上げにより一転、
2四半期連続で再び供給過剰方向に悪化した。

ただ、日銀では10〜12月期は輸出・生産などが
好転したことからマイナス幅が縮小し、
来年1〜3月期以降には需要超過・
プラス圏に浮上するとみている。