独首相がQEめぐり異例の発言、「経済改革に代わるべきでない」

ドイツのメルケル首相は19日、欧州中央銀行
(ECB)によるいかなる措置も、財政改革や
競争力向上に向けた取り組みが後回しになるような
事態を招くべきではないとの見解を示した。

メルケル首相はドイツ証券取引所の本社で
経済界関係者に対し、「ECBの代表者全員に
お願いしたいことがひとつだけある」とし、
「ECBのいかなる行動も、財政面、及び
競争面で必要な取り組みが二の次で良いという
印象を結果的に与えるようなことが
あってはならない」と言明した。

さらに「ひとつの措置が他の措置に取って
代わることが可能との考えに即座に
つながるかもしれない」としつつも、
「そのようなことは決してあり得ない」
と強調。

「欧州の競争力向上に向けた圧力を堅持していく
以外に、欧州を支援する方策はない」と語った。

ECBが今週開催の理事会で量的緩和QE)策を
発表するとの観測が高まる中、メルケル首相が
QE議論をめぐり発言するのは極めて異例だ。

だが首相は、ECBがQEを発表すべきかどうかに
ついて直接言及しないよう慎重に言葉を選んだ。

メルケル首相の見解は、ECBがQEに踏み切れば、
財政規律が緩みやすいユーロ圏諸国の改革意欲が
削がれるとのドイツ国民の懸念を代弁したもの。

聴衆の中には、ドラギECB総裁に加え、QE
反対しているワイトマン独連銀総裁の姿もあった。

メルケル首相とドラギ総裁は前週、ECB理事会を
控えベルリンで会談しており、ドイツの国内メディアは、
ドラギ総裁が会談でQE計画の詳細について
メルケル首相に説明したと報じている。

メルケル首相のザイベルト報道官はこれに先立ち、
ドラギ総裁と首相の会談について、詳細に
関するコメントを拒否した。