日銀が政策維持、2015年度物価見通しは1.0%に大幅下方修正

日銀は21日の金融政策決定会合
金融政策の維持を賛成多数で決定した。

2015年度の物価見通しを1.0%に
大きく引き下げる一方、2016年度を
2.2%に小幅上方修正し、2015年度を
中心とする期間の物価2%到達という
シナリオを維持した格好だ。

一方、今年3月に期限が到来する貸出増加と
成長基盤強化を支援するための2つの
融資制度をそれぞれ1年間延長するとともに、
制度の拡充を全員一致で決めた。

会合では昨年10月末に公表した「経済・
物価情勢の展望(展望リポート)」の
定例見直しを行った。

日銀が物価2%の到達時期のメドと
みている2015年度の消費者物価
(生鮮食品除く、コアCPI)の前年比
上昇率について、昨秋以降の原油価格急落を
反映し、これまでのプラス1.7%から
プラス1.0%に下方修正。

一方、同年度の実質国内総生産GDP)見通しを
これまでのプラス1.5%からプラス2.1%に引き上げた。

原油安や円安の進行による景気刺激効果や
政府の経済対策、10月に予定されていた
消費税再増税の延期などを織り込んだため
とみられる。

2014年度については、成長率を
プラス0.5%からマイナス0.5%に大幅下方修正。

消費増税の影響を除いたコアCPIを
プラス1.2%からプラス0.9%に引き下げた。

2017年4月からの消費税再増税
駆け込み需要が発生する2016年度の
成長率はプラス

1.2%からプラス1.6%に上方修正。

同年度のコアCPIはプラス2.1%から
プラス2.2%に小幅上方修正した。

今回の見直しにあたり、変動の激しい
原油価格(ドバイ)について「政策委員は
1バレル55ドルを出発点に、見通し期間の
終盤にかけて70ドル程度に緩やかに
上昇していく」と想定した、という。

日銀では、2015年度の物価見通しを引き下げたものの、
原油価格下落による物価下押し要因がはく落する
年度後半以降、円安進行や景気回復に伴う
需給ギャップ改善などと相まって物価は
急ピッチで上昇すると見込んでいる。

賃上げ機運の盛り上がりなどでインフレ期待も
維持されているとみており、 物価は「2015年度を
中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」
とのシナリオを維持した格好で、金融政策運営の
現状維持を賛成多数で決定した。

木内登英審議委員は、前回に続いて昨年10月末の
追加緩和前の金融政策に戻すべきと主張して反対した。

景気判断は「基調的に緩やかな回復を続けており、
消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの
影響も全体として和らいでいる」との認識を維持。

生産の判断を「下げ止まっている」に引き上げた。

一方、原油安を受けて伸びの鈍化が著しい
消費者物価の前年比上昇率は「0%台後半と
なっている」とし、「エネルギー価格の下落を
反映して、当面プラス幅を縮小するとみられる」
に判断を引き下げた。

合では貸出増加と成長基盤強化を支援するための
2つの貸出支援制度の1年間の受付期間延長と
拡充も決めた。

両制度は、一定の条件を満たした金融機関に対し、
年0.1%の低利で4年間の長期資金を供給する仕組み。

貸出増加支援は、貸出残高を
増やした金融機関に対して資金を供給。

成長基盤強化は、研究開発や環境・エネルギーなどを
手がける企業に融資をした金融機関に貸し付ける。

今回の措置では、両制度とも日銀の非取引先
金融機関でも制度が活用できるよう、それぞれの
系統中央機関を通じて利用可能な枠組みを導入。

成長基盤強化支援について、対象金融機関ごとの
上限をこれまでの1兆円から2兆円へ、総枠を
7兆円から10兆円にそれぞれ引き上げる。

また、被災地金融機関を支援するための
資金供給オペの1年延長も決めた。