追加緩和、原油安自体に対応したものではない=12月の日銀会合

日銀が26日公表した議事要旨によると、
12月18〜19日に開かれた金融政策決定会合では、
10月末に決めた追加金融緩和後も原油価格の下落が
進行する中、原油安と金融政策運営の関係について
議論が行われていたことが明らかになった。

市場のさらなる追加緩和期待を意識しながらも、
大方の委員が原油安そのものに対応すべきでは
ないとの認識を示している。

日銀は同日の会合で
金融政策の維持を賛成多数で決定した。

会合では、追加緩和後も原油価格の下落が進行し、
「今後しばらく物価の下押し圧力として働く」
(多くの委員)との認識が広がる中、何人かの
委員が10月末の追加緩和について「原油価格の
下落そのものへの対応と市場の一部で
受け止められており、その後の原油価格下落を
受けて追加緩和を予想する声も聞かれる」と指摘した。

これに対して大方の委員が、追加緩和は
原油価格の下落そのものに対応したものではなく、
デフレマインドの転換が遅延するリスクの顕現化を
未然に防ぐため」との見解を表明。

ある委員は、今後の金融政策運営について
「重要なのはあくまで物価の基調的な動きであり、
広い意味での予想物価上昇率の動向がポイントになる」
と主張した。

そのインフレ期待は、追加緩和を受けても
ブレーク・イーブン・インフレ率など市場の
指標が低下しているが、多くの委員は
原油価格が一段と下落し、物価上昇率
低下する中でも、デフレマインドの転換が
着実に進んでいる」との認識を示した。

根拠として何人かの委員は、今年の春闘
向けた賃上げ気運の高まりなど「企業や
家計の行動に変化がみられ始めている」と指摘。

もっとも、ある委員は「今年の経験も踏まえると、
主要企業における賃金交渉の結果が先行きの物価に
与える影響に強く期待すべきでない」と釘を刺している。

原油価格下落の影響について多くの委員は
「経済活動に対してプラスに作用するため、
やや長い目でみれば、需給ギャップの改善を
通じて基調的な物価の押し上げ要因になる」と指摘。

「デフレマインドの転換が続くのであれば、
いずれ物価上昇率に対して押し上げ方向に
作用する」としている。

会合では金融政策運営について、10月末の
追加緩和後も「(QQEは)引き続き所期の
効果を発揮している」との判断を共有した。

ある委員は、追加緩和によって一段と市場金利
低下が進む中で「イールドカーブ全体に対する
下押し圧力が一段と強まっており、リスク要因の
点検にあたっては、金融機関経営や広義の
決済システムへの影響などについて、これまで
以上に注視していく必要がある」と述べている。

また、安倍晋三首相による消費再増税の延期判断を受け、
格付け機関が日本国債の格付けを引き下げたことに対し、
何人かの委員が「本邦金融機関や事業法人の格下げにより、
外貨調達や国際金融規制への対応に今後どういった影響が
出てくるのか、注意してみていく必要がある」
との認識を示した。