米議会、TPPで為替操作けん制の動き

米議会で、環太平洋連携協定(TPP)などの
通商協定に為替操作に対する制裁条項を盛り込むことを
求める動きが出ているが、有識者の間では、実際には
為替介入は行われておらず、議会が強硬姿勢をとれば、
貿易交渉自体が暗礁に乗り上げかねないとの批判が
広がっている。

議会では今月、超党派議員団が日中などの
為替操作を阻止する法案を提出。

他の議員からも同様の提案が出ている。

こうした動きについて、経済学者や
元政権関係者からは懸念の声が上がっている。

クリントン政権で大統領経済諮問委員を務めた
ジェフリー・フランケル氏(ハーバ−ド大学教授)は
「責任を転嫁しようという動きは常に存在する」と発言。

自由貿易に対する不信感の表れだとの見方を示した。

財務省高官のテッド・トルーマン氏は先週、ブログで
「(制裁条項は)ほぼ確実に交渉の難航を招く古典的な
例といえる」と指摘。

イエレン連邦準備理事会(FRB)議長も、24日の
議会証言で、為替操作に対する制裁条項は金融政策に
「支障」を来たしかねない、と反対する立場を示した。

米国は長年、貿易相手国の為替操作を批判しており、
日本や中国については、近年は為替操作は行っていない
との見方が多い。

制裁条項の支持者も、日銀が現在、為替操作を
行っていないことを認めている。

財務省は韓国のウォン安誘導への批判を強めているが、
為替操作国には認定していない。

人民元の実効為替レートは2004年以降、
57%上昇している。

財務省の中国特使を務めたデビッド・ダラー氏は
「(状況は変化しており)新しい現実に慣れる
必要がある」と述べた。