中国全人代GDP目標7%に引き下げ、李首相「新常態」入り宣言
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、
北京で開幕した。
李克強首相は冒頭、政府活動報告の中で2015年の
経済目標について明らかにし、国内総生産(GDP)
伸び率を7%前後に、消費者物価指数(CPI)
伸び率を3%前後にそれぞれ設定した。
経済成長率とCPI上昇率の目標は、
それぞれ昨年の7.5%、3.5%から引き下げられた。
昨年の経済成長率は7.4%で、住宅市場の低迷、
工業部門の生産能力過剰、政府支出の減少を
背景に24年ぶりの低水準となった。
政府は景気減速を容認しつつ、消費を主体とした
質の高い長期安定的な成長を目指す構えだ。
李首相は政府活動報告の中で「中国経済に
対する下振れ圧力は増している」と説明。
「中国の経済発展における根深い問題は、一段と
明確になっている。われわれが今年直面する困難は、
昨年よりも大きくなるだろう。今年は、全面的な
改革深化において極めて重要な年だ」と述べた。
「各種の矛盾やリスクをなくし、『中所得国のわな』を
回避し、現代化を達成するため発展に頼らなくてはならず、
適切な成長速度が必要だ」と指摘。
「わが国の経済発展は『新常態(ニューノーマル)』
に入った」との認識を表明した。
首相は国有企業改革を進め、銀行システムや
金融市場の自由化に乗り出すと表明。
「安定成長や経済再編にとっても、
極めて重要な年だ」と指摘した。
また、環境汚染や腐敗問題に
対処すると宣言。
「今年は法治を推し進める」とした上で、環境汚染は
「人民の生活の質を損なう」とし、「環境関連法や
規制を厳格に執行しなければならない」と訴えた。
腐敗問題に対しては「ゼロ容認」だと強調し、腐敗に
関与した者については地位の高低を問わず厳格に
対処する姿勢を示した。
2015年のマネーサプライ(M2)
伸び率目標は12%前後とした。
今年の財政赤字については、
対GDP比2.3%となる見通し。
新規雇用については1000万人超の
創出を目指す。
固定資産投資伸び率は15%を目標とする。
政府はまた、今年の国防予算は10.1%増の
8869億元(1414億5000万ドル)になると公表。
これにより、中国の国防予算は過去20年間、
ほぼ途切れることなく2桁増となる。
2014年の国防予算は前年比12.2%増の
1300億ドルで、米国に次ぐ規模だった。
李首相は政府活動報告の中で「国防を強化し、
新たなハイテク兵器及び装備の研究開発を進め、
防衛関連科学技術産業を発展させる」と説明。
「全ての政府部門は常に、国防及び軍の強化に
積極的な関心を持ち、これを支援しなければならない」
と指摘した。
中国は国防予算の詳細な内訳を公表していないが、
複数の専門家によると、増額分は海軍の対潜艦増強や
空母建造に充てられる見通しだ。
国営新華社は4日、国防予算の伸び率は
5年ぶりの低水準になると伝えていた。