ECB量的緩和、構造問題解決なければ効果なく=S&P

格付け会社S&Pは19日、欧州中央銀行(ECB)の
量的緩和QE)策について、ユーロ圏が抱える
構造問題が解決されない限り、経済の再活性化には
つながらないとする報告書を公表した。

同報告書は「量的緩和QE)がユーロ圏の成長回復に
つながらない4つの理由」と題され、S&Pの
欧州ソブリン格付け責任者のモーリッツ・クレーマー氏が
執筆。

高齢化社会の進展、グローバリゼーションの減速、
生産性の伸びの鈍化、ユーロ圏の債務が積み上がっている
ことに起因する投資の低迷、の4点を問題点として
挙げている。

「ユーロ圏ではこうした構造的な問題が
過去数年間にわたり成長の重しとなっており、
こうした問題が対処されなければ、(成長を
取り戻すことは)最終的に不可能になる」とし、
「その結果として、ユーロ圏のソブリン格付けに
対する圧力が再び増大する恐れがある」とした。

クレーマー氏は、ECBの量的緩和策は借り入れ
コストの低下と通貨ユーロの下落につながったと指摘。

双方とも加盟国の利益になるとしながらも、
量的緩和のような政策は短期的に経済を
安定化させるためには効果を発揮するが、
政策上の慢心につながった場合、長期的には
逆効果となる可能性もある」とし、量的緩和
大きなリスクもはらむと警告した。