デフレと経済成長率、関連性薄い=BIS

国際決済銀行(BIS)は18日公表した調査報告書で、
デフレと経済成長率の関連性は薄いとの見方を示した。

経済成長率は、資産価格デフレとの
関連性のほうが強いとしている。

38の経済を1870年までさかのぼって調査した結果、
デフレは全期間の約18%で発生したことが明らかに
なったが、経済成長率が大きく低下したのは1930年代
初頭に米国で起こった大恐慌の時だけだったという。

デフレが債務問題の悪化につながった
という証拠はないとも指摘した。

多くの中銀は利下げを正当化するために、
デフレが景気に深刻な打撃を与えるとの主張を
展開しているが、こういった見解に疑問を
投げかけた格好となった。

報告書は、デフレが続いた日本経済について、
人口の伸び悩みと急速な高齢化が経済成長の
重しになったと分析。

デフレと経済成長の関係を分析する際には、
人口要因を考慮する必要があるとしている。

報告書によると、日本の実質国内総生産GDP)は
人口1人当たりのベースでは、2000〜2013年の
累計で10%成長。

労働人口1人当たりでは
累計20%の成長を記録したという。

米国はそれぞれ約12%、
約11%だった。

報告書は、デフレに対応して政策を
運営する場合は、根底にある原因と
政策の効果を理解することが不可欠だ
としている。

BISは調査によって、不動産市場をはじめとする
資産価格の崩壊の悪影響のほうが大きいことが
判明したと指摘。

BIS調査責任者のヒュン・シン氏は
「特に不動産価格の下落は、物価の
デフレよりもはるかに規模の大きい
生産の減少に関連づけられている」と説明。

「史実に基づくと、大恐慌は例外で、
そこに法則は見いだされない」とした。

社債をはじめとする債券市場については、
銀行ディーラーの市場からの撤退が流動性
問題を引き起こすなか、脆弱性の高まりを示す
兆候があると警告。

調査によると、ディーラーは資本をそれほど
必要としない市場に一段と注目しており、
米国といった主要市場でも、国債などで
リスクを取ることに消極的になっているため、
社債にも悪影響が及んでいる。