日銀総裁がQQEの意義と成果を強調、デフレリスクにあらゆる政策努力

黒田東彦日銀総裁20日、都内の日本外国特派員協会で講演し、
デフレ脱却自体が日本経済の成長力強化に資すると述べるなど、
QQEの意義と成果を強調した。

QQE推進でデフレマインドの転換は着実に進んでいるが
「完璧には根絶されていない」とし、デフレリスクが
ある場合はあらゆる政策努力を試みるべきと語った。

講演と質疑応答は英語で行われた。

総裁は冒頭、世界の主要な中央銀行の多くが量的緩和
QE)を採用しているとし、「われわれはQEジアンだ」
と形容した。

もっとも、日本の場合はデフレマインドの転換という
「もう1つの要素が加わっている」と他国中銀との
違いを説明。

日本経済がデフレから脱却するには「インフレ予想を
グローバルスタンダードである2%程度まで引き上げて、
アンカーし直すことが必要」と述べ、QQE推進で
目指しているのは「人々の期待を変えることだ」と
強調した。

2013年4月のQQE導入から2年を迎えようと
しているが、総裁は効果について、消費者物価が
20カ月連続で前年比で上昇していることや、
予想物価上昇率の上昇、長期金利の低下によって
「実質金利は、長期にいたるまで、はっきりとした
マイナスとなっている」ことなどを紹介。

特に消費者物価の上昇や、春闘で久しぶりに
ベースアップが実現したことを「画期的な変化」とし、
原油安で足元の消費者物価が鈍化を続ける中でも
「デフレマインド転換のモメンタムは維持されている」
と指摘。

昨年10月末の追加緩和で「予防的に対応したことが
成果を発揮している」との認識も示した。

その上で、今後もタイトな労働需給を背景に
名目賃金は上昇を続けるとともに、原油安が
個人消費にプラスに作用するとし、日本経済には
「フォローの風が吹いている」との見方を示した。

こうした中で物価についても、需給ギャップ
インフレ予想の好転によって「基調的な物価動向は
改善している」と語った。

先行きの消費者物価は、エネルギー価格下落の
影響でゼロ%程度まで伸び率が縮小し、「当面
そうした状況が続く可能性がある」としたが、
基調的な物価上昇率の高まりと原油下落の
影響はく落で「2015年度を中心とする期間に
(物価は)2%に達する」と改めて表明。

もっとも、原油価格の動向によっては2%達成時期が
「多少前後する可能性はある」とも語った。

デフレマインドの転換は着実に進んでいるが、
安定的な物価2%の達成には「まだ道半ば」とし、
「デフレマインドが完璧には根絶されていない」
と指摘。

金融政策運営においては「物価の基調的な動き、
とりわけインフレ予想の動向に変化が生じ、
物価安定目標の早期実現に必要になれば、
躊躇なく調整を行う方針に変わりない」と
表明するとともに、日銀はデフレ克服に
「十分な種類の政策手段」を有している、
と語った。

総裁は「デフレから脱却すること自体が、
日本経済の成長力強化に資する」と述べた。

さらに「デフレのリスクがあるなら、とにかく
デフレに陥らないように、あらゆる政策的な努力を
試みるべき」とし、QQE推進によってデフレ脱却を
果たすことで「リーディングケースを示したい」
と目標達成に意欲を示した。

「QQEが成功することは、日本経済だけでなく、
世界の金融政策の歴史においても重要な意味を持つ」
と締めくくった。