最近の外為動向、日本・欧州経済を支援=IMF見通し

国際通貨基金IMF)は14日に公表した
最新の世界経済見通しで、このところの
外国為替相場の動きは、特に日本と欧州の
経済の支援要因となり、世界経済全体の
押し上げ要因になるとの見方を示した。

IMFは日本の2015年の成長率予想を1.0%、
2016年を1.2%とし、双方とも前回1月の
見通しから0.4%ポイント上方修正した。

ユーロ圏については2015年は1.5%、
2016年は1.6%とし、前回から
それぞれ0.3%ポイントと0.2%ポイント
引き上げた。

2015年の世界成長率予想については
3.5%とし、前回1月の予想を維持。

ユーロ圏とインドで成長が加速するものの、
ロシアやブラジルなどの主要新興国
低調となることから相殺されると予想した。

地政学リスクや金融の不安定性などの
リスクが数多く存在することから不透明感は強く、
景気回復は引き続き「緩やかで一様ではない」
との見方を示した。

ただ、2016年の世界成長率予想は3.8%とし、
前回の3.7%から上方修正した。

このところのドルの対ユーロ・円での
急上昇については、今週ワシントンで
開催されるIMF・世銀春季総会で
主な議題として取り上げあげられる見通し。

IMFは、米連邦準備理事会(FRB)は利上げに向け
準備を進めるなか、欧州中央銀行(ECB)と日銀が
金融刺激策を維持しており、外為市場の動きの
ほぼすべてがこうした金融政策の方向性の相違に
起因するものになっていると指摘。

為替効果は特に経済の足腰がなお弱いユーロ圏と
日本で需要を支援する要因となり、世界的な
経済成長の底上げにつながるとの見方を示した。

ただIMFは米国について、過去6カ月でドル相場が
10%上昇したことが純輸出の圧迫要因になっているとし、
成長率見通しを下方修正。

2015年と2016年の成長率予想は双方とも3.1%とし、
前回予想から2015年は0.5%ポイント、2016年は
0.2%ポイント引き下げた。

中国については、2015年は6.8%、
2016年は6.3%とし、前回予想を据え置いた。

IMFは、米国と中国にはともに自国通貨の上昇を
吸収するための政策余地が存在しているとの見方を表明。

ただ中国については、投資主導型から消費主導型の
経済への転換が進められるなか、景気が一段と
減速する恐れもあると指摘した。

世界経済全般については、前年10月に指摘した
地政学的な緊張の高まりや金融市場の混乱などの
リスクの多くはなお存在しているとし、こうした
リスクによりぜい弱な回復が損なわれる恐れがあると警告。

ブランシャールIMF首席エコノミストは記者団に対し、
為替相場が大きく揺れ動く時は、リスクが
高まっている」と述べた。

IMFはまた、FRBによる利上げ開始で新興国から
資本流出につながる恐れがあるとも警告した。

原油価格の下落により世界的な経済成長は
2016年までに0.5%ポイント以上
押し上げられると予想。

ただ、原油価格が予想よりも速いペースで上昇すれば、
世界的な需要が損なわれる恐れもあるとした。