過度の通貨引き下げ、回避すべき=IMF専務理事

国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事は16日、
景気押し上げに向けた自国通貨引き下げへの過度の
依存は、為替相場をめぐる世界的な緊張を悪化させる
恐れがあるとの見解を示した。

最近のドルの対ユーロや円での急上昇については、
今週ワシントンで開催される20カ国・地域(G20
財務相中央銀行総裁会議で主要議題として
取り上げられる見通し。

ラガルド専務理事はIMFと加盟国の政策上の
優先課題を示した「グローバル・ポリシー・アジェンダ
の中で、「国内の経済活動の活性化に向けた通貨引き下げへの
過度な依存は、為替をめぐる世界の緊張を高める可能性があり、
回避すべきだ」と語った。

IMFは14日に公表した最新の世界経済見通しで、
このところの為替相場の動きは日本やユーロ圏経済を
支援し、世界経済全体の押し上げ要因になるとの見方を
示しつつも、「勝ち組」と「負け組」を生み出す可能性が
あると警鐘を鳴らした。

専務理事はまた、「危機時において、世界の金融安全網は
いまだ十分に活用されていない」と警告。

IMFによる融資プログラムや二国間のスワップライン協定、
地域別の金融上の取り決めなどが存在するものの、
危機時の備えは十分に整っていないと指摘した。