G20「世界経済のリスク減退」、課題残るとも指摘

米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20
財務相中央銀行総裁会議は17日、先進国の
成長見通しが改善するなか世界経済へのリスクは
減退する一方、為替変動や低インフレ、
地政学的緊張など課題は残されている
との共同声明を採択して閉幕した。

声明では「世界経済に対するリスクは
前回の会合以降、一段と均衡している。

ユーロ圏や日本など先進国における短期的な
見通しは最近改善しているほか、米、英は
底堅い成長を続けており、こうした動きが
世界経済の一層力強い回復を後押しする
可能性がある」と指摘した。

その一方で、「為替相場の変動や長引く低インフレ、
持続的な内外の不均衡、高水準の公的債務、
地政学的緊張など重大な課題が存在する」とした。

声明には、ギリシャへの直接の言及はなかった。

トルコのババジャン副首相も記者会見で、
ギリシャ問題が公式協議で主要議題と
ならなかったこと明らかにした。

しかし、ギリシャ問題が当局者の念頭に
置かれていることは明確で、これに先立ち、
オズボーン英財務相は記者団に対し、
ギリシャをめぐる問題が一連の国際会議に
重くのしかかっており、ギリシャ支援を
めぐる交渉について「いずれの側に判断ミスや
誤算などがあれば、欧州が4年前に
経験したような危険な状態に再び陥るのは
明らかだ」と述べた。

ギリシャと債権団の協議について、IMF欧州局を
統括するポール・トムセン氏は記者団に対し、
「数日中に大きく進展し、手続きを加速させることが
重要」とし、「包括的なパッケージが必要であり、
少なくとも数週間の討議が必要となることは
明白だ」と語った。

声明では世界経済に対する明るい見方が示されたものの、
米連邦準備理事会(FRB)が利上げ開始に向けた下地を
整えるなか、金融市場のボラティリティーが高まる
リスクが存在するとも指摘した。

「世界の金融政策が異なる方向に向かう環境において、
各国は慎重に金融政策を調整し、マイナスの波及効果を
最低限に抑制するため、明確な意思伝達を行う必要が
ある」と強調した。

また、資本流出に直面し、懸念視される新興国
状況については、必要に応じ、資本移動を
規制するなどの措置を講じることが可能との
見方を示した。