ユーロ圏、ギリシャ支援の分割支払いを拒否=5月に再協議

財政難に直面するギリシャへの支援をめぐり
24日に開かれたユーロ圏財務相会合で、
ユーロ加盟国はギリシャに対し完全な経済改革計画に
同国が合意しない限り新たな支援は提供できない
との立場を示し、同国が要請した支援金の一部の
早期支払いを拒否した。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長は、
ラトビアのリガで開催した会合終了後に会見し、ギリシャ
支援融資を受けるためには包括的な改革リストを提出する
必要があると改めて表明し、ギリシャに作業の加速を要請。

「包括的で詳細な改革リストが必要だ。融資を実行する前に、
包括的な合意が成立する必要がある。われわれは、時間切れに
なりつつあると認識している」と述べた。

これについてギリシャのバルファキス財務相は記者会見で、
部分的な改革案で合意する代わりに資金を分割して
受け取れないか、ユーロ圏側に打診したものの、
拒否されたことを明らかにし、「われわれが当初から、
物事を進展させるため、4、5項目の主要な改革案で
合意し、資金を部分的に受け取ることが可能かどうか
提案していたが、答えは『ノー』だった」と語った。

デイセルブルム議長はまた、凍結されている72億ユーロの
ギリシャ融資は6月以降は提供することはできないとし、
ギリシャが完全な暫定合意に至らない限り債権団は
長期融支援と債務減免の話し合いには応じないとの姿勢も
示した。

その上で、ギリシャで7億5000万ユーロの国際通貨基金
IMF)融資返済期限を迎える前日の5月11日に
再度財務相会合を開き、ギリシャ側の進展を評価することを
明らかにした。

今回の会合はわずか1時間程度で終了。

ギリシャ財政再建策の詳細を提示しなかったことから、
財政黒字目標を含む踏み込んだ議論は行われなかった。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はこの日、記者会見で、
ギリシャの銀行は支払い能力があり適切な担保を有している限り
緊急流動性支援(ELA)を利用できるとの見解を表明。

ただ、ギリシャ国内の預金流出や債権団との
交渉難航などにより、ギリシャ国債の利回りは
2012年の債務再編時以来の高水準となっている
と指摘。

「利回りが上昇するほどボラティリティーが高まり、
担保(価値)が損なわれる」と警告した。

今回の会合に先立ち、ギリシャのバルファキス財務相は、
支援の条件である経済改革で国際通貨基金IMF)などの
国際債権団が求めている条件の一部を受け入れる方針を
提示し、一部譲歩する姿勢を示していた。

ただ、ギリシャは一段の給与や年金の減額は拒否するとし、
債権団側が現実的な国債費を除く基礎的財政収支
プライマリーバランス)の黒字目標の設定に
合意する必要があるとの主張を崩さなかった。

ギリシャの資金がいつまでもつのかは不明。

支援協議が難航していることでチプラス首相の支持率にも
影響が出るなか、ギリシャの資金繰りは綱渡りが
続くことになる。