一段の追加緩和や現実的な中期財政計画が必要=IMF対日審査

国際通貨基金IMF)は22日に発表した対日経済審査の
報告書で、アベノミクスの3本の矢それぞれの強化を提言した。

日銀に対してはさらなる追加緩和を求めるとともに、
現実的な前提に基づいた信頼に足る中期財政計画の
重要性を強調した。

金融政策をめぐっては、「日銀の量的・質的緩和
(QQE)開始によりインフレ期待は上昇したが、
横ばいもしくは1%にとどまっており、期待された
ジームシフトは実現していない」と総括。

「政策運営指針をより分かりやすくする形で追加緩和を
行えば」物価の基調を高めることができると提唱している。

2%の物価目標達成期限を維持することが、追加緩和への
「期待効果」を持続させるとしつつ、政策の波及メカニズムが
弱いため「目標達成は日銀の想定よりも時間がかかる」
との見通しを示した。

加緩和の手段として「資産買い入れの拡大や
買い入れ資産の年限の長期化」を指摘。

また「あらゆる手段を排除しないと
繰り返す必要がある」とした。

日銀は「見通しの前提としている需給ギャップ
賃金・物価動向」のほか、「追加的な措置を行う場合の
条件について明示するのが望ましい」としている。

もっとも「さらなる円安で日本企業の競争力を高める
一方で日本の輸入が減少した」と指摘。

2014年の実効為替レートは概ね経済の基礎的条件と
整合的だったが、「2014年後半に進んだ円安で
実行為替レートは幾分か円安水準になった」とした。

財政再建構造改革を進めなければ、「さらなる金融緩和は
円安への過度の依存につながる恐れがある」と警鐘を鳴らした。

中期財政計画をめぐっては「2020年度に基礎的財政収支
(PB)の黒字化を目指すとの目標は、日本の財政政策に
対して有用な指針となり得る」とする一方、「信頼に
足り得る計画とするためには、(経済成長などについて)
慎重で現実的な前提が必要」と強調。

日本経済の最大のリスクは、内需低迷と「不完全な」
財政政策・成長戦略だとの認識を示した。

日本経済には大きな緩みはなく賃金は緩やかに
増加していると指摘する一方で、エネルギー価格が
低下していることや、デフレマインドが「深く
根付いている」ことにより低インフレが続いている
と分析した。