銀行券ルールの停止、問題起きてない=黒田日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は25日午後の参院決算委員会で、
量的・質的金融緩和(QQE)の導入を機に適用を
停止した、いわゆる「銀行券ルール」について、
現段階で適用停止による問題は起きていない、
と語った。

通貨の信認維持には、物価の
安定が重要との認識も示した。

金子洋一委員(民主)の質問に答えた。

「銀行券ルール」は、日銀の長期国債保有額について
銀行券発行残高を上限とするもので、国債買い入れ
財政ファイナンス(穴埋め)と受けとられないための
1つの基準といえる。

大規模な国債買い入れを柱としたQQE導入を機に
適用を停止しており、現在の日銀は銀行券発行残高を
大きく上回る長期国債保有している。

銀行券ルールの適用停止の弊害を問われた黒田総裁は
「問題は起きていない」とし、「むしろ量的・
質的金融緩和のもとで、日本経済は所得から
支出へという好循環に乗ってきている」と語った。

その上で、日銀による大規模な国債買い入れ
「金融政策が目的であり、財政ファイナンスではない」
と強調。

日銀が目指す物価2%が達成され、それが安定的に
持続するような状況になれば、「銀行券ルールを
どうするのか、検討が必要だ」と述べた。

2014年度の実質経済成長率が前年比1.0%減となり、
当初見通しから大きく下振れたことについては、
昨年4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の
反動減が長引いたことや、夏場の天候不順など
「消費面の弱さが一番大きな要因」と説明。

消費増税個人消費への影響についても
「落ち込みが予想よりもいく分大きかった」
と述べた。

もっとも、慎重化していた消費者マインドについて
「このところ持ち直しの動きが明確になっている」とし、
実際の個人消費も3四半期連続でプラスとなるなど
「底堅さが増している」との認識を示した。

物価面では、足もとの消費者物価(除く生鮮食品、
コアCPI)の前年比上昇率がゼロ%程度に
落ち込んでいるが、「物価の基調は着実に
高まっている」と主張。

下押し要因となっている原油価格の下落についても
「やや長い目でみれば経済に好影響を与え、物価の
上昇要因になる」との見解を繰り返した。

また、通貨の信認維持に重要なのは「物価の
安定確保」とし、物価は「デフレもいけないし、
2%を大きく超えてインフレになってもいけない」
と指摘。

2%の物価安定目標の達成に向け、
必要なら「躊躇なく政策調整する」と語った。