金融庁、金融機関に米利上げに備えたリスク管理強化促す=関係筋

金融庁が年内にも想定されている米利上げなどに備え、
金融機関に対してリスク管理の強化を促していることが
わかった。

超低金利環境が続く中、収益力強化への
取り組みについても、改めて早めの経営判断
求めている。

複数の関係筋が明らかにした。

関係筋によると、5月下旬に行われた地方銀行経営者との
会合に出席した金融庁の細溝清史長官は、海外経済の
リスク要因として、年内にも想定されている米連邦準備理事会
FRB)による利上げのタイミングとテンポを指摘し、
「グローバルな金融システムに影響を与えると思う。
引き続き注視していく必要がある」との見解を示した。

米利上げをめぐるリスクについては、米金利に連動した
日本の長期金利上昇の可能性のほか、国際的な
マネーフローの変化に伴う国際金融資本市場の変動や
アジアを含めた新興国経済への影響などが懸念されている。

細溝長官は、ギリシャの債務問題の行方や
中国のシャドーバンキング問題なども含め、
日本の銀行に直接的に大きな影響を与えることは
ないかもしれないとしながらも「実体経済
市場を通じての影響は、必ず起こる」と警戒感を
にじませた。

こうしたリスクを踏まえ、経営者に対して
ストレステストの活用や、自己資本及び
流動性の検証など「適切なリスク管理
行うことが大事だ」と備えを促した。

金融庁は昨年9月に公表した「金融モニタリング
基本方針」で、マクロ経済や市場動向を含めた
金融システム全体のリスクを分析し、金融機関の
リスク管理態勢を検証する「マクロ・プルーデンス」を
重点施策のひとつに掲げている。

一方、細溝長官は、中長期的な課題として
少子高齢化の進行などによる地域経済の
構造変化への対応にも改めて言及。

「5年後、10年後を見据えたビジネスモデルの検証」
の必要性を強調した。

超低金利環境の継続による利ザヤ縮小などで
「低収益性がリスクになりつつある」との
問題意識を示し、収益力の強化や資本政策など
「今年取り組まなければいけない経営判断については、
きちんと行ってほしい」と要請した。

金融庁の広報担当者は、長官がどのような発言を
したかについては言及しなかったが、「当庁が
昨年9月の金融モニタリング基本方針で示した通り、
内外の経済情勢の変化や資本市場の動向は、金融機関の
経営にも影響を及ぼす。当庁は、金融機関の
リスク管理がしっかりしているか注視している」と述べた。