米GDPの年次改定、「推計手法に構造的問題ない」
米商務省経済分析局(BEA)は今週、
実質国内総生産(GDP)の年次改定を公表した。
季節要因による変動の調整方法に
ゆがみがあるとの見方に対応した。
BEAの国民所得・資産部門を率いるニコル・
メイヤーハウザー氏は記者向けブリーフィングで
「この期間のGDPの推計方法に構造的な問題が
あると明確に示すものは今のところみつかっていない」
と述べた。
2015年第1・四半期のGDPが当初発表で
予想外のマイナスとなり、エコノミストらは
現在のGDP推計方法の正確性に疑問を呈している。
調整が不十分で季節要因が残り、過去数年間の
第1・四半期GDPの数字は実際よりも低く
はじき出されていると主張する。
BEAは今回、国防関連支出とサービスの個人消費支出、
純利息や企業利益について季節調整の方法を改良した。
新しい方法では2011〜2014年のGDP平均は
年率換算で2.0%増となり、当初発表より
0.3ポイント下がった。
国防支出が過大評価されており、2012年から
2014年にかけて第3・四半期のGDPが実際より
大きく算出されていたことが分かった。
2012年第3・四半期のGDPは
2ポイント下方修正の0.5%増となった。
下方修正のうち国防支出は0.5ポイントを占めた。
2013年通年のGDPは当初発表の
4.5%増から3.0%増に下方修正された。
国防支出が0.4ポイント引き下げた。
2014年の第1・四半期は当初発表の2.1%減から
0.9%減へと上方修正されたが、多くのエコノミストが
主張するような季節調整の不十分さが原因では
ないとみられる。
メイヤーハウザー氏は「Q3の改定は国防が
影響したことが確かだ。Q1は国防とは限らない。
新しいデータを取り込む上で発生したことだ。
改定の一部は建設関連のデータについて季節要因を
更新したことに起因する」と述べた。
今回のGDP改定は、季節調整の方法を
見直す取り組みの第1段階だ。
次の段階は既に始まっており、BEAはGDPと
国内総所得(GDI)を構成する詳細なデータを見直す。
当初の結果を2016年の春の
終わりまでに公表したいとしている。
最終段階は、季節調整済みのGDPと対になる
季節調整前の統計についても見直すことで、
透明性を高める。
今回の年次改定ではGDPと
GDIの平均値も導入した。
2011〜2014年の平均は
年率換算で2.2%増だった。