9月米利上げの切迫性、市場混乱で薄れた=ダドリーNY連銀総裁

米ニューヨーク(NY)連銀のダドリー総裁は26日、
国際市場の混乱を踏まえると、連邦準備理事会(FRB)の
来月利上げは、適切でなくなっているとの認識を示した。

総裁の発言は、中国経済の減速がFRB
金融政策に影響する可能性を浮き彫りにした。

総裁は記者団に対し「現時点で、9月の連邦公開市場委員会
FOMC)で正常化プロセスを決定することは、数週間前と
比べ切迫性が薄れている印象がある」と述べた。

弱い中国指標に端を発した株安連鎖は世界経済の
成長を阻害しかねず、金融市場の状況を米国の
利上げ開始に不適切なものにしているとした。

一方で「米経済状況や国際金融市場の動向に
関する一段の情報を入手するため、会合までに
切迫性が高まる可能性がある」とも述べ、
9月利上げの可能性を排除しなかった。

その上で、利上げ時期を最終的に判断する前に、
今後数週間は一段の国内経済指標や、市場動向を
見極める意向を表明した。

総裁の発言は地域経済に関する講演時における
自発的なもので、FRBからの意図的な
メッセージとも受け止められる。

総裁はFRB内でハト派で、
イエレン議長に近いとされる。

総裁は「国際情勢を受け、米経済成長への
下振れリスクが幾分高まった」と分析。

中国経済の減速や商品価格下落が新興国市場を
圧迫して、世界成長が鈍化するほか、米国の
財・サービス需要が後退する可能性が生じている
との認識を示した。

また市場のボラティリティーにより金融状況は
引き締まり、信用スプレッドは拡大したと指摘。

インフレ率は原油安やドル高で2%の目標を
引き続き大きく下回っているとしたが、
「われわれは一時的だと予想している」
とした。

「短期的な市場動向に過剰反応しないことが重要だ。
なぜなら一時の調整なのか、米経済成長やインフレ率の
見通しに影響を与える持続的なものなのか、
不確かだからだ」とし、米国民の消費意欲への
足かせとなり得るのは「大幅かつ長期的な」
株価下落だけと語った。

追加の資産買い入れの可能性について問われると、
FRBはそれからは「程遠い」と指摘。

市場の混乱は「米国の問題ではない」とし、
海外の動向に起因していると述べた。